この長老指揮者の称号を戴くにはいくつか条件があるように思う。
まず風貌。いかにも頑固な爺さんでなければならぬ。好々爺ではいけない。そしてクラシック音楽業界、特にレコード産業のメインストリームのわずか脇にいなければならない。デッカやDGなどユニバーサルの系列ではないことはもちろんだがあまりにもマイナーなレーベルでもいけない。レパートリーは独墺系、とくにブルックナーをよく振り、得意としていること。そしてあまり来日しない(できない)こと。簡単にはご尊顔を拝することができないこと。頻回な来日はありがたみが薄れてしまう。
初代長老はなんといってもベームだがこの人は風貌と伝説的な来日公演で長老指揮者となった。
ヴァントは先に挙げた条件をすべて満たしている。ブルックナーを老人の妄執(悪気は全くありません)とよびたくなるほど繰り返し録音したし、その演奏は「ワシのブルックナー」といえるほどに強烈な個性を刻印している。正直にいえば自分はちょっと苦手だ。
スクロヴァチェフスキは来日回数がやや多いが他の条件を満たしている。これからは来日の機会も段々と減るのではないかと思う。スクロヴァチェフスキが再注目されるようになったのはARTE NOVAにいれたブルックナーの全集の頃からだ。確かに彼のブルックナーは素晴らしい。最近はOhemsに独墺系の作曲家の交響曲ばかりを入れている。70~80年代にはミネソタO.と近現代曲をVOXレーベルに録音していた。
どの曲も演奏はいたって明快。オーケストラの機能的な音と相まって非常に客観的かつ明晰で軽やかだ。曲の形がとてもよく見える演奏といえるのではないか。しかしこの頃からオケをキチキチと締めてあげているなあ。でもオケがバカテクなので窮屈さはない。さすがだ。
現在のスクロヴァチェフスキがこれらの曲を演奏したらどんな演奏になるだろうか?ぜひ再録音してほしいものだ。アメリカのオケでぜひ。
2枚目はバルトークの管弦楽曲集。残念なことにCD-R。それでも聴けるだけマシなのか?3枚目はギーレンの海とのカップリングでダフニスとクロエ第2組曲他が収録されている。4枚目はアナログプロダクションズのCDでラ・ヴァルス他が収録されている。