2014年12月27日土曜日

Handel Messiah C.Hogwood/Academy of Ancient Music

長野市の中古レコード店「アンサンブル」が閉店したようだ。HPが削除されていた。以前からHPに告知もあったし、覚悟はしていたが、やはり寂しい。先般の長野の地震では棚から商品が落下したようだった。12月下旬の閉店予定が、もしかしたらそのまま早まってしまうのではないかと危惧したが、告知通りであった。店主の意地を見た気がした。お疲れさまでした。今後はゴルフ三昧でしょうか?

さて、年の瀬も押し詰まって職場ではインフルの大流行である。年末のシフトの変更となった。ここは一致団結して乗り切らねばなるまい。幸い家庭や子供の周囲では流行っておらず一安心。

そんな中、今年はヘンデルのメサイアを聴いた。昨年、Kazuさんに第9もいいですけどメサイアなどの宗教曲もいいですよとアドバイスをいただいたので、中古で仕入れておいた。メサイア初体験である。なんだか晴れがましいような音楽。1年の汚れを落とすシャワーを浴びるように少し大きめの音で聴いた。いまのところコレが自分にとって正解の聴き方かな。すぐに聴きながら眠ってしまいました。演奏は今年亡くなったホグウッド/エンシェント室内管の演奏で。

前回のブログで、今年は最後と書いたのに性懲りもなく追加です。へへっ。


2014年12月23日火曜日

どうなるジンクスNFL O.Suitner/SB AB7 S&G

メリー・クリスマス!
いよいよ熱く、面白くなってきたNFLのお話から。お付き合いください。

今年のNFLのレギュラーシーズンもあと2週間(2試合)。プレーオフ(PO)進出をかけた争いが熾烈だ。我らがシアトル・シーホークスの所属するNFC西地区はライバル、アリゾナ・カーディナルスが第15週終了時点でプレーオフ進出を決めているものの、2試合を残して地区優勝の行方はまだわからないという大混戦。今週、その地区首位、地区優勝をかけた同地区対決があった。

NFLは2つのカンファレンス(日本のプロ野球でいうセ・リーグ、パ・リーグにあたる)があり、それぞれ4地区に分かれている。POは両カンファレンスの地区優勝4チームとワイルドカード2チームの計6チームがカンファレンスチャンピオンシップを目指して争う。両カンファレンスのチャンピオンがぶつかるのがスーパーボウル(SB)。POではレギュラーシーズンの勝率が高い順にシード権があって、ホームスタジアムで試合ができるホームゲーム・アドバンテージが与えられる。一般にNFLではホームでの試合はかなり有利となる。というのも相手チームの攻撃の時、クラウドノイズ(観客の大声や足踏みなどによる大きな騒音)で相手チームの邪魔をする。ちなみにファンのチームの攻撃の時は極力静かにする。このクラウドノイズ、スタジアムによっては時にはジャンボジェット機の騒音をも上回る。大きな騒音で相手チームの作戦の伝達の邪魔をしたり反則を誘うことで有利に試合を進められるのだ。なので地区優勝とワイルドカードでは同じプレーオフ進出でも雲泥の差なのだ。前回シアトルがSB制覇できたのもカンファレンス最高勝率でこのアドバンテージを得て、カンファレンスチャンピオンシップまでホームでファンを味方にして戦えたことが大きかった。
シアトルとアリゾナ。今シーズンの同地区対決は2回目“at アリゾナ”ある。前回対戦はシアトルでシーホークスが勝利している。2度目となる今週の試合どちらも落とせない一戦であるとともにクラウドノイズ対決でもある。両チームのホームスタジアムはこのクラウドノイズの大きさでギネス記録にもなった。ホームアドバンテージはカーディナルスにある。が、カーディナルスは故障者続出のため戦力的にはシーホークスが圧倒的に有利といわれている。戦力差を補うクラウドノイズは崖っぷちのカーディナルスを救うのかとも思われたが・・・。
結果はシーホークスの圧勝!途中まではロースコアの競った試合展開であったが、ゲーム終盤にきて試合の流れを完全に掴んで大きく突き放した。これで勝ち星が11勝4敗でアリゾナと並んだが、直接対決でアリゾナに2勝したので地区首位となった。最終週の試合に勝って12勝となれば地区優勝、カンファレンスの第1シードとなる。カンファレンス優勝、SB出場、SB連覇も見えてくるというもの。で、アリゾナはというと、この敗戦で自力優勝が無くなり最終戦に勝って、かつシアトルが負ければ地区優勝。負ければワイルドカードとなる。しかし最終戦の対戦相手はサンフランシスコ 49ers。49ersはPO進出を逃し下り調子ではあるけれど厳しい相手。どうなる?シアトルもセントルイス ラムズ戦だが前回対戦時には確実と言われていた勝ち星を落としているし、今シーズンのラムズは大物食いが得意なのでホームゲームとはいえ気が抜けない。

ご存じだろうか?SBには有名なジンクスがある。「開催地を本拠地(ホーム)とするチームはSBに出場できない」というもの。今シーズンのSB開催地はアリゾナ。カーディナルスの本拠地だ。ということはカーディナルスはカンファレンスチャンピオンになれないということ?毎年ジンクスは破られるのか?が注目でされる。SBは今年49回目だがこのジンクス、今だ破られていない。このまま行くと今年も当たりそうである。

SB繋がりで。前回のブログではレーグナーの7番を紹介したけれど、今週はスイトナー/シュターツカペレ・ベルリン(SB)の7番を。レーグナーと同じドイツ・シャルプラッテンの録音だが、録音は雲泥の差。レーグナー盤は放送局のスタジオだがこちらはベルリンのキリスト教会での録音。40Hz以下もしっかり入っています。上から下までしっとりとした弦の響きとくすんだ金管の音色は正に旧東ドイツの音。適度な残響も心地よい。ブルックナーはテンポを動かさず、ゆっくりした演奏が良いとする向きもあろうが、自分の好みは適度に動きのあるものが好きなので、スイトナーの演奏スタイルは自分にとってはドンピシャ、といえるだろうが、いささか踏み込みが甘い。歌い込みの浅い平板な演奏となってしまっているのが残念なところ。勿体ないことだ。

一字違いでSGの話。サイモン&ガーファンクル〝コンサート イン セントラルパーク"。81年9月のライブ録音。SG世代ではない自分のSGサウンド初体験のディスク。2人のクールで透明感のある歌声が寒いこの季節にマッチする。「明日にかける橋」「「僕とフリオと校庭で」「サウンド オブ サイレンス」「旧友などなど。懐かしくて思わず手に取ってしまった1枚。
我が家のオーディオは最近、こうしたポップスやロック系の音楽もうまく鳴るようになった。以前はトーンコントロールで低音を絞って聴いていたが今はその必要はなく喜ばしい限り。

今年も1年ありがとうございました。今年はこの記事を入れて85本を更新することができました。予定ではこれが今年最後の予定ですが、もしかしたらもう1本あるかもしれません。

それでは、よいクリスマス・年末でありますように。

2014年12月20日土曜日

バッサリ Rögner / RSOB AB7

寒い。寒い。
今年も余すところ10日ほど。
先週は同僚が風邪を引いて出勤停止となったため、なかなかに多忙であった。まあその分、週末の忘年会ではずいぶんとハッチャけさせて頂いた。楽しい忘年会であった。今週はこの大雪。通勤時間が読めず気を揉んだ。路面が凍結ということはなかったけれど、圧雪と吹雪による視界の悪さで通常30分のところ1時間30分以上かかった。遅れるわけにもいかないので早く家を出るのも一苦労だった。

今週はそんな中、どうにも右上の奥歯が痛い。年末年始に酷くなっても困るので歯科を受診した。虫歯かと思っていたがそうではなかった。噛み合わせが悪く、右側を強く噛み締めていたための痛みで、強くあたり過ぎる歯を少し削ってもらったら痛みはウソのように無くなり顎の動きもよくなった。先生によると、奥のオヤシラズも影響しているので抜きましょう、とのことで昨日歯を抜いてもらった。以前、ほかの歯科医院で抜歯したときは貧血でぶっ倒れたり、処置の途中で麻酔が切れてあまりの痛さに爪の成長が止まったり、3日間口が開けられず食事ができなかったりと歯科については散々だったので心配だったが、今回は全くのNP(ノー・プロブレム)だった。今回の歯医者さんは新規開拓だったが腕のよい先生でホントよかった。

さて、レーグナーのブルックナー7番です。このところ市内のTSUTAYAにはクラシックのコーナーにはCDがたくさんある。といってもベスト100とかナントカ1000のようなものばかりですが。でも店頭で新品のCDを買うなどという行為が減った自分にとってはやはり刺激が強いのか、つい手にとって買ってしまう。
このCD、さっそく聴いているのだが何だか据わりが悪い。演奏は悪くない、というか良いですハンソン。他の方のレヴューなどにはテンポが速いと書かれていることが多いですが、そんなに速いとは思わない。で、何が据わりが悪いのかと言うと、このCD、40Hz以下がバッサリ。EQのリアルタイムアナライザー(RTA;いわゆるグライコ)で見るとバッサリと切られてしまっているのだ。なんでこんなことをするのか理解できないが、楽器の音でいうとはグランカッサやコントラバスの低い音域の帯域ながら、ホールやスタジオの暗騒音もこの帯域。それが含まれないことになるのでオケやホールの大きさ、量感が出にくい。レーグナーのブルックナーはテンポが速く小型、コンパクトと言われることが多いが録音によるところもありそうである。

ではほかの録音が全部そうなのか?という疑問が湧くところ。
レーグナーは4番~9番を録音している。手元にあるのは4番、7番、9番の3枚。4番は徳間ジャパンの1000円盤。この7番はキングレコードの1000円盤、9番は国内盤LPである。これまで、国内盤CDは徳間、エイベックス、キングと3者によって発売されている。その内エイベックスではSACDで発売されるなど、新たなリマスタリングがなされてきたものと思う。海外盤でもシャルプラッテン、ベルリンクラシックス(エテルナ)と何度か発売されているが、違いはあるのかどうか。興味のあるところではあるが、お金も時間も余裕ないし、聴き比べはとてもできない。

とりあえず、徳間盤の4番を聴いてみると、40Hz以下もレベルは低めだが含まれている。とするとキングのマスタリングに由来するものなのか。それとも7番のマスターテープからしてバッサリ落としてしまったか。このキングの1000円盤(KICC3661)は前回のハイパー・リマスタリング・シリーズのマスターを使用していると思われる。原音再生主義、とうたっているので元々のマスターテープからなのだろうと思う。

今日、ずっと探していたアシュケナージのラフマニノフの交響曲第1番とミケランジェリ/ジュリーニの皇帝のLPを注文した。届くのが楽しみだ。これを励みにもう少し頑張ろうと思う。


2014年12月7日日曜日

これは面白い! Fennel / EWE The Civil War

先日のベニー・グッドマンのLPと前後してフェネル/イーストマン・ウィンド・アンサンブルによるThe Civil War (南北戦争)というCDをオークションで入手した。このCD、録音の良さと資料的な意味で欲しいCDだった。何度か手に入れる機会があったがタイミングが合わずこれまで入手には至らなかった。

このCD、南北戦争期の南北両軍の行進曲やラッパ信号、当時の流行歌などに加えて、その当時使用された大砲や小銃といった火器の音が収められている。ともすると、ややキワモノ的、デモンストレーション的なディスクと思われがちだが、マーキュリー録音のなかでも屈指の好録音でマーキュリーというレーベルを体現したディスク、だと思った。録音は1960年と62年。61年には経営の不振によりフィリップスに買収されたのでその過渡期にあたる。
火器(大砲や小銃)の実射音(空砲)の収録はかなり凝っている。使用された火器は南北戦争時のもので、録音場所も戦場となったゲティスバーグやウェストポイント(陸軍士官学校)で行われている。その時代の大砲を使うあたりはさすが。しかし相当のコストが掛ったのではないか。この部分は60年の収録。フィリップスに買収された後では録音させてもらえなかったに違いない。このあたり、マーキュリーのしたたかさが窺える。買収もいきなりではなかったと思われ、どうせ買収されるなら、ここは一つ・・・、なんて感じだったんじゃないかと思う。また、ただ火器の音を収めるだけでなく、火器の説明と思われるナレーション入りである。英語が不得手なので詳しくはわからないけれども、ライナーノートには使用した楽器、当時の火器や楽曲の説明など仔細に書かかれており、単なる音楽CDとなっていない。

当時、驚異的に優秀な録音を誇ったマーキュリー。もちろんレコーディング技術に対する絶対的自信があるのだと思うが、使用楽器や火器、録音場所といったディテールの細かさやこだわりがのマーキュリーのディスクを単なる優秀録音ディスク、というだけにとどまらない、何というか、レコーディングという行為をもう一段、価値あるものにしているように思う。
もう一つ、マーキュリーのCDについて。このCDは90年のリリースで、当時のプロデューサーのウィルマ・コザート・ファインがCD化のプロデュース、監修をしている旨表記されている。国内盤でもアメリカプレスはこの表記があるが、その後の国内プレス盤にはこの表記がない。コザートの監修が無いせいなのかわからないが、国内プレス盤はアメリカプレス盤に比べ音質は少し落ちる、と考えている。それでも好録音であることは間違いないのだが、わずかに音がにじむ感じだ。アメリカ盤はエッジが立っていて音の鮮度がいい。

面白いと思ったのは、録音に使用された楽器だ。オリジナルかレプリカかは判然とはしないが、博物館にあったものが使われている。当時の軍楽隊で使用された金管楽器はラッパのベル(朝顔)が後方に向いていて、ちょうど銃を肩に担ぐような形になっている。レコーディング風景のスナップではステージ奥のひな壇の一番高いところに指揮者のフェネルがいて、金管楽器の奏者は客席方向に背を向ける格好だ。ステージ最前列にいる木管奏者はまるっきり指揮者に背を向けている。
※画像をクリックすると拡大します。


すっかり忘れていたが、今年はフレデリック・フェネルの生誕100年にあたる。メジャーな指揮者ではないし、記念盤もめぼしいものは出なかったと思う。フェネルがいなかったとしても吹奏楽というジャンルは確立されたろうと思うが、こう早くはならなかったと思う。フェネルとマーキュリーの功績は大きいと思う。


Mercury 432 591-2
レコーディングに使用された金管楽器とドラム。当時のものかレプリカかは不明
レコーディング風景
ステージ奥センターはフェネル。ラッパのベルをマイクに向けるため、金管奏者は後ろを向いている。
木管奏者は丸きり指揮者に背を向けている。どうやって指揮に合わせていたかはナゾ。

フェネル自身が奏法を実演している

2014年12月6日土曜日

済みました A.Copland Clarinet Concerto

寒波来襲。とても寒い。金曜日、ついに雪が降った。
先週の高倉健につづいて今週、菅原文太が亡くなった。なんだか健さんが呼んだように思えて仕方ない。高倉健が亡くなった時、追悼番組として数々の映画も放映されたが、網走番外地シリーズが放映されなかったのは残念な限り。「自分、不器用ですから」観てみたいなあ。

「冬タイヤ装着 お済ですね」とは国道の電光掲示板の文言。去年は「お済ですか」だったのが今年は「お済ですね」と来た。念押しである。これにはヤラレタ。つい、「すみません、まだです・・・。」と答えてしまいそうになる。「~ですか」と来た時は「まだだよッ」と反発したくなるが、「~ですね」と来た日にゃなぜか済まない気持ちになるから不思議。で、例年になく早めにタイヤ交換をして、この雪に間に合った。交換はもちろんガソリンスタンドで。「自分、不器用ですから」タイヤ交換できないんです。

以前、kazuさんといとこのうな君があそびに来た時、うな君がコープランドのCDを持ってきた。久しぶりに聴いたコープランドはやっぱりモダンでクール。もっと以前に別の友人Yさんから自作自演集を借りて、これも良く聴いた。このCDはすでに廃盤で入手困難。自分はバーンスタインのものを中心に数枚を所有している。わけてもクラリネットコンチェルトは好きな曲だ。最近になって中古レコードでベニーグッドマンのものを購入した。タイトルは「ミーティング アット ザ サミット ベニーグッドマン プレイズ ジャズ・クラシックス ウィズ」となっておりA面はバーンスタインのプレリュード、フーガとリフ、コープランドのクラリネット協奏曲、B面にはM.グールドのクラリネットとバンドのためのデリベーションズ、ストラヴィンスキーのエボニーコンチェルトがカップリングされてそれぞれが作曲者の指揮による、という共演集となっている。なかなかに豪勢な組み合わせだ。編集盤かもしれないが詳細は不明。グッドマンのテクニックは現代のそれと比べるとちょっとなあ、と思うところも多いが、やや寄りかり気味のリズム処理といい、雰囲気というか空気感は抜群によかった。まさに大人(たいじん)の風格。録音はまあ、ぞれなりといったところ。60年代後半、CBSに勢いのあった時代が偲ばれる録音であることは間違いない。

今朝(土曜日)になっても雪は止まない。シーズン最初にこの大雪。海沿いの我が家周辺も結構な積雪。高速道路は通行止めで近くの国道も渋滞と、散々な土曜日である。

MS 6805


2014年11月29日土曜日

がっちりとクッキリでニヤリ

早いもので、来週は12月。スーパーマーケットではもう鏡餅や注連飾りが売られている。我が家には今年の鏡餅がまだ残っているというのに。
朝の通勤時、晴れていれば白く雪化粧をした妙高山がクッキリと見える。天気予報では今週、降雪の予報である。降るのと積もるのはまた違う話と自分に言い聞かせ、冬タイヤの交換は先延ばししたいところだ。

さて、久しぶりにオーディオの話をいくつか。
ちょっと前、大型のホームセンターの別館が画材や木工・手芸の素材を扱うようになったので行ってみた。オーディオ的には木材や皮革素材が気になるところ。
パワーアンプのMC2255はタオックのボードに載せて床に直置きしているが、このタオックボードを床から少しだけ浮かせてみたいと前から思っていた。そこで1.5㎝角の黒檀のブロック12個入りを買ってみた。価格も250円ほど。
という訳でケーブルを外し、アンプを少しずつ後ろに動かしながらボードを手前に引き出していく。振動を与えないように慎重に、慎重に少しずつ、と思っていると、アクシデント。フロント下に入れていた指が挟まって抜けない。アンプとボードの間に左手の指4本ががっちりと食い込む様は正に悪夢。その後、何とか指は抜けて一安心。
ボードを浮かせた効果は一応あったようだ。タオックのボードと床に何かを挟んで浮かせた状態で使用している例はこれまでネットでもみないのだが、盛大に鳴る我が家の床であるので機器への振動はできるだけ避けたいところ。ベタ置きより浮かせたほうが良いのはプりアンプでも実証済みで、パワーアンプもと考えていたが、アンプの重さを考えると躊躇していた。実際やってみると音は少しシャープに、というか輪郭がくっきりとしたようで思わずニヤリ。指を挟んでまでやった甲斐があったというもの。
もう一つ、SPとSPスタンドの天板の間にもキューブを挟んでみようかと検討中である。Signature805は専用スタンドの載せているが、天板にべったりと載せボルトで固定、という体裁。これを少し浮かせてみようという訳。この辺りは年末年始にトライする予定。

EQを少しいじりつつ、リスニングポイントも少し後ろへ。この状態でかれこれ10日ほどになる。いまのところ及第点。もう少しふんわりとした響きが出てくればサイコーなんだけど。EQはいろいろと聴きながら、ピーキーな感じのする周波数を抑えつつ、低音域のうち63~200Hz辺りを絞ってみた。併せて中音域~高音域を整える、といった感じ。この部分はもう勘、というか(聴)感に頼った勝負である。全体としてEQカーヴは以前よりもフラットな方向になっているから不思議。




2014年11月22日土曜日

L.v.Matačić/NHK SO. AB8

娘が先日、11歳になった。もうすっかり思春期、反抗期である。口癖は「ヤダ」「ウルサイ」などなど。体重は「言わないで!」ということで秘密にするが、身長は自分(178センチ)の肩を超えるほどデカい。将来は3メートルか?でも、かなりの世間知らずでマイペース。心配である。今日、部屋をのぞいたら昨日録画しておいた「千と千尋の・・・」を観て泣いていた。

さて、一時のマーラーフィーバーも去って、最近はブルックナーばかり聴いている。というのもEQを少しいじって各帯域のバランスを見直してみたところ、ずいぶんと繋がりが良くなった。それに気を良くして、これまであまり良い音で鳴ってくれなかったヨッフム/ドレスデンやマタチッチのCDをかけてみると、中々に上手く鳴るようになった。特にマタチッチは好感触。DENONマタチッチ・レガシーの中のN響ライブの1枚、ブルックナーの8番は好きなCDで、これを上手く鳴らしてみたいというのが我がオーディオのテーマの一つ。リアルライブの放送音源ということもあって録音は冴えない。ちょっと前にXRCDでも出て、こちらはビックリするほどバランスをいじってあって、おかげでかなり聴きやすくなったけれどもすっかり角が取れたと言おうか、お化粧の効いたものになってちょっと見、別人のようでもあった。DENON盤は聴きなれたNHKFMのN響演奏会の生中継をそのままCDにしたような音でオンマイク気味。XRCD盤は録音されているホールエコーをもう少し生かした音作りになっている。本来、XRCDはオリジナルのマスターテープの音をCD規格の範疇で忠実に再現しようというものだと理解しているが、このマタチッチの8番を初めて聴いた時は、確かに音質は向上したけれども違和感を感じたものだ。それにXRCD盤はDENON盤にはない電気的なノイズが3楽章にあったりして、今でも手元に残したDENON盤を愛聴している。

この8番はマタチッチ唯一の録音かと思う。84年当時、マタチッチはすでに身体が不自由であった。立って指揮していた(?)が、バトンも持たず、ほとんど右手を手刀のように動かすだけの指揮だった。見ていてもよくオケがついて行くものだと不思議だった。N響の演奏は正直、残念なレベルだがリアルライブということを考えればこんなものかとも思う。何がスゴイって、マタチッチに食らいつくN響がスゴイ。最終的にはマタチッチがオケも客席もすべてを包み込み、呑み込んで、「マタチッチのブルックナー」を打ち立てて果てる。
第1楽章は両者ぎこちなく硬さがあるが、2楽章あたりから段々と熱を帯びはじめてきて3楽章でオケはもうすっかりマタチッチに呑み込まれてしまっている。4楽章の推進力と圧力は凄まじく全てを呑み込む。オケも余力なく必死の演奏で、会場全体もこの出来事にすっかり痺れてしまっているようだ。そう、なんというか圧力がスゴイんだ、この演奏。なんだかGがスゴイ、この身体が押される感じは飛行機の離陸かジェットコースターのようだ。
ヴァントやチェリ、朝比奈などもっと良い演奏はあるんだが、ここまで気持ちが揺さぶられ興奮する演奏となると自分はマタチッチのコレなんだなあ。これがブルックナーの初体験かもしれない、今気づいたけど。

先日、長野市にある中古レコード店「アンサンブル」さんが12月下旬をもって閉店するという告知がHPに載っていた。ああ、ついに・・・。残念である。



DENON COCO-7376
JM-XR24700
LvB 2&7との2枚組

2014年11月15日土曜日

O.Klemperer JB Ein Deutsches Requiem

もの凄い風である。霰も降った。新潟には「雪おろし」という言葉がある。例年の12月中下旬に吹雪きとなりカミナリ様が盛大に落ちる夜がある。雪を天から下ろすということ。この夜を境に雪模様の天気が増え、冬本番、雪の季節となるわけだ。我が家のすぐ近くには電波塔が立っていて、カミナリ様はそこにお落ちになる。その音と振動は凄まじいの一言。なにせ上空30mほどのところに落ちるわけで一瞬目が眩み、間髪入れずにメキメキッ(バリバリッ)、ドッシーンと来る。決してゴロゴロではない。繰り返すがメキメキッ、である。身構える暇もない。以前、あまりにビックリして首を竦めた途端に頸をグキッと痛めてしまった。今回の大荒れの天気、雪おろしにはちょっと早いが、しかし冬はすぐそこまで来ている。

 こんな寒い日は人の声で温まりましょう。あまり派手派手しくなく辛気臭くもなく、ということで、ブラームスのドイツ・レクィエムを。
自分はクレンペラー盤がお気に入りです。独唱はシュワルツコプとフィッシャー=ディースカウ。学生の頃に買ったCDなのでかれこれ25年になろうかという愛聴盤。この後カラヤン盤なんかも聴いたけれど、やっぱりクレンペラーなんだなあ。従兄弟のうな君は確かジュリーニ盤がイチオシだった。今はアバド/BPO盤かな?61年、キングズウェイ・ホールでの録音。さすがに合唱団の声の動きを克明に追うことはできないけれどもとても丁寧でどっしりとした安定感は抜群である。シュワルツコプの声も気品があって凛としたところが曲にマッチしている。キングズウェイ・ホールにおけるEMI録音のやや寒色系で翳りのある響きがまた良い。オルガンが入っているせいかいつもよりわずかに温かみやぬくもりを感じさせる。
クレンペラーはブラームスの交響曲を56~57年に録音しているが、CDで聴く限り、ステレオ録音最初期であるせいか、あまり録音がよろしくない。レンジが狭いのは仕方ないとしてもバランスが悪く、音がとても硬い。演奏は比較的速いテンポで進んでいく演奏だった。確か当時は同じセッションでモノラル録音も行われたはずで、そちらは聴いていないので何とも言えないが、よさそうなんではないかと踏んでいる。レコーディングスタッフやマイクセッティング、ミキシングも異なり、ステレオ録音をそのままモノラルに変換しているわけではないので音の傾向も違うはず。中古LPもステレオ盤は高額だがモノラル盤は比較的安い。今度探してみよう。

先日の長野行ではこんなCDも買った。ドイツレクイエムの四手連弾版。こちらは以前にうな君に教えてもらったもの。これも買いそびれていたもので半額ほどでした。こちらは本を読みながら聞き流すのにちょうど良い。

NFLはいよいよ後半戦に突入。各チームとも故障者続出で混戦模様。アメフトは寒くなってからが面白いスポーツ。我がシアトル・シーホークスは主力選手のトレードや対戦相手のマークが厳しく、現在は6勝3敗で地区2位とやや苦戦しているがここ3試合3連勝中で本来の調子を取り戻しつつある。レギュラーシーズンも残り7試合。がんばれシーホークス!応援してるぜ!!


東芝EMI CC33-3759
NAXOS 8.554115





2014年11月9日日曜日

マーラー 落穂拾い Bernstein & Tennstedt

この前の連休は妻のお母さんを連れて、長野県の野沢温泉に一泊。硫黄泉のなかなかに良い湯でございました。お土産はもちろん野沢菜漬けで決まりでしょう。翌日は善光寺へ、といっても妻と娘、お母さんの3人が。自分は別行動で中古レコード屋アンサンブルさんへ。このお店、近々閉店してしまうとのことで、割引もあるようなので行ってきた。

これまで買いそびれていたマーラーのCDを中心に10点ほど購入。バーンスタイン/NYPの7番と3番(DG)、テンシュテット/LPOの8番(EMI)、インバルの3番(DENON)、アバド/CSOの1番(DG)、ブーレーズ/CSOの1番(DG)、シノーポリの大地の歌(DG)それにクーベリック/BRSOの3番(DG)、こちらはLPで。そのほかに数点。
これでバーンスタインのDG全集はすべて揃った。インバルは1番を、ブーレーズもあとは8、9、10番を残すのみ。そういえば最近、ACOとの9番の輸入盤LPがネットショップに売りに出ていたが50000円の値がついていた。国内盤はそれほどでもないが、それでも高い。CDに移行しつつある時期のLPは流通量も少ない、よってあまり出回らないのだろう。さすがに手が出ないのであきらめている。マーラー・ブームはちょうどCDが出始めた頃であった。インバルやシノーポリあたりは途中までLPでも出ていたと記憶しているが、現在はなかなか流通していないようだ。シノーポリは国内盤で2番と5番を見つけて持っている。マーラーのような大編成の曲でもLPの音は音楽を聴くぶんには申し分ないし、やはりCDにはない艶というか色気があるように思う。特にインバルのワンポイント録音はぜひLPで聴いてみたいと思っているが今だにお目に掛かっていない。

大量に買いこんでしまったディスク。ゆったりと聴きたいところだが、このところ天気が悪く、しかもかなり寒い。立冬も過ぎ暦のうえではもう冬。扇風機も片付けてファンヒーターの出番となった。

さて、バーンスタインの7番はさすがの一言。所要時間82分20秒の堂々たる余裕のドライブを見せる。とても落ち着いた印象だ。CBSの旧盤と基本的には同じことをやっているのだが、こちらの方が断然、呼吸が深い。特に第2楽章と第4楽章においては一段と呼吸が深く、沈み込みが大きい。その落差によって奇数楽章の躁的な感じが一層強められ、結果、表現の幅が出て懐の深い演奏となった。NYPはバーンスタインにビッタリと付いて行っているが、共感度は低めで意外と冷静。それがまた演奏にも余裕のようなものを与えていて上手くいっている。例によってライブ録音だが録音も良好だ。
3番は今のところは残念ながら惜しい、惜しいなあという印象。NYPの特質が裏目に出たか。まだ簡単に通して聴いただけだが全体に雑な印象を受けた。ただ、第6楽章の、特に終盤はとても感動的であるけれど。以前聴いた旧盤の頃は、もう本当にバーンスタインのオケ、といった感じのNYPであったがこの頃にはもうその面影はなくなってしまったようだ。バーンスタインの勢いで聴かせる演奏、と言えそうだがこちらの期待も大きすぎた?

テンシュテットの8番、これもまた見事なドライブを見せている。音楽評論家、許光俊によってテンシュテットは猟奇的な指揮者に祭り上げられ、ライブ盤ばかりが持ち上げられてしまった感がある。8番にはLPOレーベルからでているライブ盤もあるが、一度ちゃんとしたセッション録音も聴いておかないといけないと思って今回買った次第。テンシュテットの指揮もさることながら合唱の質が高い。これだけで聴いた甲斐があったというもの。隅々まで目の行き届いた演奏でテンシュテットの集中力が凄い。録音もEMIの録音にしては聴きやすい、というよりEMIのテンシュテットのマーラー録音の中では一番良いと思う。
テンシュテットのマーラーは彼の代表作ではあるけれど、正直に言うと、なぜ良いのか今一つ自分のなかでしっくりとこない。「なにが」ではなく「なぜ」良いのか、がである。都会的・現代的な病理を伴う演奏かと思う。かといってシノーポリやインバルほどには分析的ではない。このしっくりと来ないところが良いのだろうか。
このCD、初出盤(CC33-3585.86)ながら、録音データが記載されていない。ネットで調べると1986年4月20-24日、ロンドン、ウォルサムストウでの録音とのこと。この録音は85年に癌を発病、放射線治療による活動休止の後、復帰してすぐの録音。その年の11月には癌が再発、演奏活動の中断を余儀なくされた。その後小康を得て、活動再開している。ちなみにライブ盤は91年ロイヤルフェスティバルホールでのもの。その後何年まで指揮活動を続けていたのかはわからないが98年1月に没している。

Bloggerに障害があり、しばらく閲覧できなかったが、無事閲覧可能となった。ご迷惑をおかけしました。


(DG 419 211-2)

(DG F00G 20347/8)

(東芝EMI CC33-3585・86)



2014年10月28日火曜日

マーラーメダルって? kubelik と Chicago

おぉ、寒い。まるで冬の風だ。とはいえ、ストーブを出すのも癪だし、面倒だし・・・。てかまだ扇風機が出しっぱなしだし。手の指先がかじかんで、タイプしにくいよ。

さて、引き続きクーベリックのマーラーを聴いてます。クーベリックのマーラーを初めて聴いたのは8番でした。コレが良かったんだな。それで全集を買った。8番は全集録音の最後、71年の録音である。録音場所はミュンヘンのドイツ博物館大会議場(コングレスザール)。我が家のシステムで聴く限りは、録音はこの巨大な編成を余すところなく捉えてはいない。トゥッティではさすがに混濁気味のところも見受けられ、少々聴き苦しいのではあるが、折々、美しいオケ・合唱の響きが聴ける、CD1枚に収まってしまう快速系。第1部が21m53s、第2部が52m03sの計74m56s。しかし最近は1枚で収まってしまう演奏も多くなった。高速ながらも前のめりではないが、推進力に溢れた演奏で、やはり「熱」を持っている。

さて、渡辺護はこの全集のライナーノートに、
クーベリックは1950年から1954年まで、アメリカのシカゴ交響楽団の指揮者をつとめたが、多くのマーラー作品をこの都会では初めて演奏し、彼はマーラーメダルをさずけられたのである。
                                                                                                                と書いている。

マーラーのディスクのライナーを読むとよく出てくるこのマーラーメダル。どういうものかと思い、国際マーラー協会のHPをみてみた。
このマーラーメダル、マーラーの作品の紹介や理解、協会の活動に貢献した人、団体に贈られるもので58年に設立されたものらしい。これまでの受賞者は以下の通り。

Previous recipients of the Mahler-Medal:

  • 1958  Carl Schuricht
  • 1958  Eduard van Beinum
  • 1958  Concertgebouworkest Amsterdam
  • 1958  Rotterdam Philharmonisch Orkest
  • 1958  Eduard Flipse
  • 1958  Herm. J. Nieman
  • 1960  Rafael Kubelik
  • 1960  Dimitri Mitropoulos
  • 1966  Utrecht Orkest
  • 1966  Dresdner Philharmonie
  • 1967  Leonard Bernstein
  • 1969  Wiener Symphoniker
  • 1971  Bernard Haitink
  • 1974  Kyrill Kondraschin
  • 1974  Joseph Krips
  • 1974  Hans Swarowsky
  • 1979  Residentie-Orkest Den Haag
  • 1980  Wiener Philharmoniker
  • 1980  Alice Strauss - posthum Franz Strauss
  • 1980  Christa Ludwig
  • 1980  Dietrich Fischer-Dieskau
  • 1980  Carlo Maria Giulini
  • 1981  Städtisches Symphonieorchester der Stadt Münster
  • 1981  Alfred Walter
  • 1982  Vaclav Neumann
  • 1982  Eleonore and Bruno Vondenhoff
  • 1984  Federico Sopeña Ibáñez
  • 1985  Claudio Abbado
  • 1985  George Alexander Albrecht
  • 1985  Niedersächsisches Staatsorchester Hannover
  • 1987  Donald Mitchell
  • 1996  Marjana Lipovšek
  • 1996  Rafael Frühbeck de Burgos
  • 1997  Edward R. Reilly
  • 1999  Thomas Hampson
  • 2005  Henry-Louis de La Grange
  • 2005  New York Philharmonic Orchestra
  • 2005  MahlerFest Colorado
  • 2005  Gustav Mahler Committee Toblach
  • 2007  Vladimir Fedoseyev
  • 2007  Knud Martner
  • 2007  Peter Weiser
  • 2012  Jiří Rychetský
                                      引用: 国際マーラー協会HPより  http://www.gustav-mahler.org/

一覧をみると、クーベリックは指揮者としてはシューリヒト、べイヌム、フリプセについで4人目。バーンスタインより7年も早いことに驚かされる。意外なところでは74年のクリップス!現在の認識では全くマーラーを振りそうもないように思われるが、いったいどんな功績があったのだろうか。謎であるが、70年~73年の間、ウィーンSO.の芸術顧問を務めていたようなので、そこで何かあったのではないかと思う。クリップスのマーラー、聴いてみたいものである。そのウィーン響も69年にメダルを授与されている。67年のウィーン芸術週間のマーラー特集でウィーン響とオーストリア放響が中心(分担した割合は不明だが放響よりも多かったのではないか?)となったことがメダル授与の理由ではないかと思う。また逆に、いわゆるマーラー指揮者であるショルティやクレンペラーには授与されていない。団体ではオランダのオケが多く、メンゲルベルク以来のマーラー演奏の伝統を感じる。

渡辺はライナーのなかで「多くのマーラー作品をこの都会(シカゴ)では初めて・・・」と書いており、クーベリックがマーラー作品のシカゴ初演を多く手掛けたことを示唆している。興味が沸いたので、ネットで探してみたらありましたよ。演奏会記録。結論からいうと、渡辺の記事は誤り。確認できたところでは50年12月に5番、51年4月に大地の歌、52年1月に1番を指揮したのみであった。渡辺がいうように数多く演奏しているという印象は持てなかった。この他には69年1月に客演して9番を振っている。
クーベリック退任後、ライナー、マルティノンの時代を経てショルティが音楽監督となったことはご存じのとおり。
その後のシカゴ響のマーラー演奏はクーベリックによるオーケストラの地ならしができていたからこそだった?なんて想像をしてみたが残念ながらハズレだったようだ。
そうすると、60年のクーベリックのメダル授与の理由とは何なのだろう。謎である。

2014年10月24日金曜日

助けてー‼ Kubelik GM Sym.5&6

雨があがって、秋晴れである。今回は音楽の話が中心です。

さて、このところ、クーベリックのマーラー三昧。一時、アウディーテからライブ録音が多数発売されたこともあって、クーベリックのマーラーといえばそちらがメジャーになってしまった感がある。ライブ盤が出た際、「クーベリックはライブの人、スタジオでは大人しかった」といったような評論が出ていたものだ。そんな単純な話ではなかろうに。アウディーテのライブも良いのだけれど、グラモフォンの全集(F00 29068/77)もなかなかに聴きごたえがある。今回はそのお話。

クーベリックといえば晩年はCBSに移ってモーツァルトやブルックナーも録音したが、レコーディングキャリアのスタートはEMIだったが、その後のほとんどをグラモフォンで過ごしたところはジュリーニと同じ。ドヴォルザークやスメタナ、シューマンなど今も名盤とされるものも多い。マーラーの全集もその中の一つ。なかでも特に5番と6番が好きだ。
67年から71年にかけての4年間で集中的に録音され、CBSのバーンスタイン盤に次ぐ、いやアブラヴァネルに次いで3番目か?と思う。この全集の特徴を一語でいえば、「熱」「焦」だろうか。「熱」の読み方は「ねつ」でもいいし、「あつっ」でもよい。躁うつ気質であったマーラーの「躁」の部分がよく表されているように思う。なにか熱に浮かされたような落ち着きのなさをこの全集を聴いていると感じる。何かに追っかけられているようであったり、見えない何かに怯えているような、不安や不穏といった感情が掻き立てられてしょうがない。これほどまでに不快を感じる演奏はない。しかしこの不快がこの演奏の醍醐味。不安や不穏は気持ちの高揚をもたらす。聴いているあいだ、気持ちが高ぶりっぱなしで一時も気持ちが落ち着かない。満足感ある不快なのだが、聴き終わるとこれが結構、ぐったりときてしまう。

5番は元来、マーラーの交響曲のなかでも7番と並ぶ躁的側面を持ち合わせている曲。作曲に取り掛かった1901年、ウィーンPOの監督を辞任、その直後に5番の作曲に取り掛かり、アルマと出会い婚約、とまるでジェットコースターのように感情も上がり下がりしたはずだ。はじめの谷が深いほど次に登る山は高くなる。アルマとの婚約はきっと多幸感MAXであったろう。冒頭のトランペットの3連符で始まる葬送行進曲から輝かしいフィナーレまで、そのまんまである。嬉しかったんだろうな。そんな曲をテンポよく、キビキビと前のめりに演奏されるとしかし何か尻の座り、安定を欠いた印象が強くなる。多幸感に不安をちょっと足すとたちまち幸せな気持ちに影がさし、不信感にグラッときて頭グルグルである。
恐ろしや~!
もちろん、マーラーもこの幸せが続かないであろうという不安は承知していたはずで、1902年3月、アルマと結婚、7月に5番を完成(初演は1904年ケルン)。11月には長女マリア・アンナが誕生している。計算が合わない気もするが・・・。幸せを手に収め絶頂のはずの翌1903年7月には6番「悲劇的」に着手している。
クーベリックは6番も高速前のめり演奏で(不安・恐怖を)煽る。そう、6番には手に入れた幸せを失う恐怖、がある。幸せであるがゆえの現実的な恐れ、例えば子供を失ってしまうのではないか?結婚が破たんしてしまうのではないか?これは後に現実となるのだけれど。ただ、恐怖に怯えているだけではなく、その恐怖に立ち向かい恐怖に打ち勝とうとする葛藤もクーベリックはしっかりと描き切っている。

クーベリック/BRSOの演奏はそれをストレートに自分の心のど真ん中に投げ込んでくる。受け止めるか受け止められないかギリギリの速球を。よって自分にとっては名盤、なんである。

ちょっとクーベリックの「熱」にあてられてしまったか?おしまい。

ちなみに、6番のタイムを比較すると・・・ (データはブックレット記載に拠る)

1楽章
2楽章
3楽章
4楽章
Total
Kubelik (G)
   2107
   1142
   1135
   2630
   7054
Inbal (D)
   2422
   1446
   1434
   3002
   7944
                                        
やはり、高速であるが、提示部の反復の有無による差があるかもしれない。ちなみに最速はミトロプーロス盤、らしいが未聴、と思っていたら持っていたヨ。Totalで72分55秒。やはりクーベリックが最速の男か?

1~10番、さすらう若人の歌が入って10枚組。大地の歌はこの全集に含まれないが、
70年のライブ録音がアウディーテから出ている。演奏会で取り上げて、録音という
流れであったようなので、計画はされていたが何らかの理由で流れてしまったのかも。



2014年10月18日土曜日

K.Böhm/VPO LvB Symphonies

めっきり寒くなりました。我が愛車には外気温計がついている。先週の朝の通勤時には19℃だった気温も昨日は14℃。だんだんと冬が近づいているなあ。

このところ、LPを聴いている。もうとっかえひっかえ、である。
前回のブログで報告したとおり、AT666をターンテーブルシートにしている。いろいろと迷ったが、今のところこの形で落ち着いている。悩みといえば、AT666を吸着面(表側)を上にしてそのまま使うか、ひっくり返して使うか、である。表側は吸着を前提としているので構造上LPのレーベル外周に当たる部分ととLPの外周部がシーリングゴムとなっていてわずかに浮き上がっている。吸着すればシートとLPは密着するのだが、吸着していないのでシートとLPは密着しない。DS20によって押しつける形とはなるが、わずかながら浮いているものと思われる。ひっくり返して裏側を上に向けて使うとLPとしっかり密着した形となる。
このAT666。金田式ターンテーブルでは吸着せずLPを浮かせて使うようだ。金田式については全くの不勉強で、恥ずかしながら良くわからない。LPを浮かせることでシートの影響を排除できるというのがミソであるようだ。それに倣い浮かせて使うと確かにシートの影響は少ないようだ。良く言えば広がりのある響きの豊かな音なんだけれど、なんだか腰の座らない感じにも聴こえる。音が全体的にざわつく感じもする。カートリッジもかなり動く。裏側を上にして使うと締まった音になるけれど、やや詰まった感じとなる。こちらはカートリッジはあまり動かない。好みの問題なのか。好みとしては裏側を上にして使うほうだろう。
そんな訳で、LPをとっかえひっかえひっくり返し、ついでにAT666をひっくり返して聴いている。

レコードの反りの改善について。これまでは反りの度合が比較的大きい廉価盤やデジタル期の厚みの薄い盤を中心に聴いていたが、古い厚みのある盤も何枚か聴いてみた。厚い盤はまた盤も硬い。よって、外周を押さえつけてもその効果は薄い盤に比べて少なかった。前にも書いたけれど、やはり反りの改善はバキューム式のほうが効果は高いようである。反っているレコードは中心部から反っているので外周を押さえつけるだけではだめで、盤全体を押さえつける必要がある。上から全体を押さえつけるわけにはいかないので下から吸着して盤全体をターンテーブルシートに圧着するバキューム方式は理にかなっている。使用経験からバキューム方式は反りの9割がたを矯正するが外周方式は7~8割いったところにとどまるだろうと思う。外周方式が廃れた理由もその辺にありそうである。動作の確実性とメンテナンスは外周方式。性能はバキューム方式だ。あとは外周方式では使用できないターンテーブルとカートリッジがあること。SPUなどは持っていないが、底面の幅がありすぎてリングの内縁に当たってしまい、ちょっと使えないのではないか。そのあたりも問題か。

最近、集中的に聴いているのはベームのベートーヴェン。国内盤の中古(3番のみ海外盤)を中心に7番以外をなんとか集めることができた。初期盤を聴いたことがないので音質の差がわからないけれど鑑賞には十分な音質だと思っている。70年代ウィーンPO.のグラモフォン録音を代表するレコードの1つ。しかし、本当にこのコンビは凄い。まさに阿吽の呼吸、である。ベームのオケに対するドライブというかVPOの操られ方というのか、正に絶妙としか言えない。どちらかというとVPOがベームを上手く乗せているのが正しい気がする。いや、そんなことは承知しているベームがまた上手く乗っかっている振りをしているのか。まあこんなコンビはもう二度と現れないだろう。ベームは小言爺さんだったようで、特に新人の奏者を見つけるとキッと睨み付け、ミスするとネチネチと苛めていたそうだ。そんな時団員はまた始まった、と思い、グラーツの出身でなくてもこの新人はグラーツの出身ですとベームに紹介する。するとグラーツ出身のベームはそーかそーかと機嫌が良くなりリハーサルが進んだという。そんなベームをみて団員はニヤニヤしていたという。

ベームにはBPOと録音した3番がある。流麗ではないがBPOの合奏力の高さと相まってきびきびとした格調高い演奏であるが、このVPO盤はより歌心に溢れ余裕ある演奏となっている。3番や9番はわずかにだれ気味の様子。しかし6番は素晴らしい。ピリオドアプローチを採用したり小編成で速いテンポで小気味よく演奏されるベートーヴェンは好きだし、普段はこちらを良く聴くけれど、時には攻撃的にすぎることがある。最近はこうした大編成の従来のアプローチによるゆったりとしたベートーヴェンは少なくなった。でも時々聴くと心が暖かくなって良い。

画像の上はAT666をひっくり返してターンテーブルに載せているところ。下はちょっと珍しいカートリッジ。ピンボケで申し訳ないけれど、SONYのVC-20。コンポセットのプレーヤーの付属品だったものを中古で入手。空芯コイルのMC型カートリッジ。CBS録音にマッチする?と思っている。すっきりとした音調。
本当はXL-55(PRO)が欲しいところ。




2014年10月10日金曜日

軽針圧カートリッジの逆襲

トリオの外周スタビライザーDS-20が来て5日。手元にあるカートリッジをとっかえひっかえ聴いている。
所有カートリッジはMM型がオルトフィンの2MRED、シュアーのM97xE。MC型がオルトフォンMC20W、ソニーVC20、オーディオテクニカAT-F3、デンオンDL-103、モノラルカートリッジのオーディオテクニカAT-MONO3/LPの7つ。メインはこのうちのMC20Wが務めている。よってアナログディスク再生における音決めはMC20Wで行っている。このMC20W、価格はそれなり(自分にとっては十分に高価)だが、音の傾向はあんまり神経質に音溝をこする感じではないけれど情報量に不足はなく、レンジ感ほどよく、ふくよかに音楽を再現してくれるので、お気に入りである。他のカートリッジはそれぞれに良いところもあるがMC20Wに及ばず、あまり出番が無かった。
DS-20の効果か、盤の回転が安定しているとそのほかのカートリッジが今までよりいい音で鳴ってくれるようになった。とくにシュアー。先のブログにも書いたけれど、これが大変身。スペック的にもレンジは広くない。 音もパッとしない地味娘ちゃんだったが、相変わらずパンチは効いていないが今はスーッと音が伸びとっても清楚な感じで溝に刻まれた音をそのまま再現してくれる。同じMM型の2MREDは残念ながら外周スタビを載せるとどうしてもボディが触ってしまい、そのままでは使えなかった。あえて使うとなればハウジングを少し削る必要がある。後々針交換の際にBLUEへのグレードアップを考えていたが断念することにした。そのほかソニーのVC20、オーディオテクニカAT-F3も上手く鳴ってくれるようになった。
考えてみると、M97xE・VC20・AT-F3はいずれも標準針圧1.5g前後の軽針圧カートリッジ。音溝の追従性は高いけれど盤面のコンディションと回転の影響を受けやすいはずで、盤面と回転が安定したことで性能をしっかり引き出すことができてきたのではないかと考えている。
MC20Wの牙城は脅かされつつある。依然、優位ではあるがその差はかなり縮んだことは確かである。

さてDS-20。この5日間、使ってみた感想だが、盤面の安定(反りの改善)という点ではやはりバキューム方式が優れているようだ。いくつか反りのあるディスクにDS-20を載せてみたが、わずかに盤面の浮沈が確認できた。反りがなくなるわけではなかった。バキューム方式は吸着すれば効果は絶大なのだが、いかんせん吸着したりしなかったりと、動作にムラがありすぎた。メンテナンスも難しいというか不可能。取り回しのし易い(基本的にメンテナンスフリー)のと反りの軽減の確実さで自分は断然DS-20に軍配を挙げる。

もう一つ、さらなるグレードアップとして、眠っているその吸着式のAT-666をターンテーブルシートとして活用してみた。ジュラルミン製でこちらも1.3kg。ターンテーブルとDS-20と合わせて5.25kg。かなりの重量増が見込める。さらに回転が安定。カチッとしたエッジの立った音ながら全体に静かになった印象。
しかし、しか~しである。この分厚いターンテーブルシートのせいでレコード盤がスピンドルの上の方にきてしまい、スピンドルとレコードのセンターホールが密着しない。いわゆる偏芯が生じてしまう。そうするとカートリッジは微妙に左右に動いてしまって音にも影響しそうだ。
う~ん、ナイスアイデアなんだがなあ。もう少し様子を見てみようと思う。

明日から3連休。今から何を聴こうかワクワク・ウキウキである。





2014年10月5日日曜日

到ちゃこ! TRIO DS-20

先日、オークションで落札したトリオ DS-20が届いた。
先日も書いたように落札額は予算をはるかにオーバーしていたので妻に不足額を補てんしてもらうハメになってしまったが文句も言わずに許してくれた。感謝。

レコードの反り対策に、春にオーディオテクニカのバキューム式のスタビライザーを買った。当初はちゃんと吸着してくれていたが、だんだんと吸着力が弱まり、しまいには全く吸着しなくなった。ゴム部分の劣化が原因であるがあまりにも確実性に欠けるのではないか。熱処理によってディスクそのものの反りを直す器械も考えたけれど、これも確実に直るわけではないようだし、失敗してよりベコベコになることもあるということで、このDS-20に賭けることにした。結論から言うと結果は上々、と言っておこう。

落札直後は自分にとっては予定にない高額な落札だったこともあり疲労と自己嫌悪であったが、いざ届いてみると、やっぱり嬉しい。そんな自分にまたまた自己嫌悪、である。
このDS-20、外周スタビライザー(本体)、内周スタビライザー(いわゆるディスクスタビライザー)に外周スタビ本体の位置を決めるゲージからなる。本来の使用方法はまず、ターンテーブルにセットしたLPの上に位置決めゲージを載せ、本体をセットした後ゲージを外して内周スタビを載せるのだが今回、手に入れたブツにはこの位置決めゲージがついていない。ただ載せてもカートリッジに接触して針とびを起こす可能性もあるのでこの位置決めは重要なんである。その点が面倒くさいのだが。
早速に寸法を測ってボール紙にセンター穴を開けただけのものだけれど、とりあえずの位置決めゲージを作成した。
オオッ!シュアのMe97xが飛び切り良い音で鳴る‼‼ なんとなく高音域が詰まったような感じの地味な娘という印象だったのに、とっても清楚できれいな娘に変身していて驚いた。

このDS-20の効果としてはまず、レコードの反りを矯正しターンテーブルとレコード盤との密着度を高めるとともに、1.3kgの重さによって慣性モーメントが向上する。それによってワウフラッターの軽減とS/N比のアップが期待できる。実際聴いてみると、すっかり反りが直るわけではないが、カートリッジの上下動が少なくなってワウフラッターはかなり減少しているようだし、音の小さいところ、楽器の少ないところでは確実に静かになった。
我が家のKP-1100はターンテーブルをKP-5050のものに換装し重量を1.9→2.6kgに増している。今回、これが4.0kg近くまで重量がアップしたことになる。ターンテーブルの回転は問題なさそう。回り初めと停止の時間が長くなったくらい。心配は軸受け。まあこれくらいなら大丈夫だと思う。TRIOの純正品だしね。

テストに使用したレコードはジュリーニ/CSOのマーラーの交響曲第9番。中古で手に入れたけれど反りがあって、これまでは上手く鳴ってくれなかったもの。前よりも重心が下がった感じで低音も良く出ている。上出来である。


外周スタビライザーの本体部分。思っていたよりもかなり重いアルミ製


即席の位置決めゲージを載せ四角に合わせて本体を載せる
本体はディスクのヘリ1㎜ほどに引っ掛けるように載っている


ゲージを外し、内周スタビを載せて準備完了


カートリッジの上下動は少なくトレースも安定している



2014年10月4日土曜日

ぼんくら三昧 物欲の鬼、再び

すっかり秋、かと思いきや、日差しは強い。風は冷たく、寒暖の差が大きい。大汗かきの自分には、過ごしやすい反面、かいた汗で体を冷やして風邪をひきやすい時期。用心、用心。
このところ、ぼんくら三昧である。ぼんくらとは宮部みゆきの小説の題名。このシリーズ「ぼんくら」「日暮らし」「おまえさん」と続いている。前にも書いたけれどこの秋、NHKでドラマ化(10月16日午後8時から、全10回)される。それを前にもう一度読み返しているところなわけだ。現在は「日暮らし」下巻に突入したところだが、これがもう、泣けて泣けてしょうがない。涙で活字が見えない。すっかり登場人物に感情移入してしまう。宮部みゆきの筆致は何か丹念に織られた布のようで、その模様の見事さ、手触りに見入ってしまう。この「日暮らし」の中には子盗り鬼、というのが出てくる。子供をとって食う鬼である。我が家にも出た。物欲の鬼が、でた。

先日、ネットオークションに探していたアナログプレーヤーのアクセサリーがあった。すでにディスコンで前々から探していて、どうしても手に入れたかった。オークション終了の間際に入札。このまま落札かと思われたその時、終了時間が延長された。再度入札するとまた延長である。どうなってんだ~!どんどんと釣り上がっていく落札価格。三度延長の末、何とか落札。予定していた額の2倍をつぎ込んでしまった。正直、競り合っていた相手に譲っても良かった。けれども最後の最後に相手は乗ってこなかった。落札できたものの、嬉しい感情は無く疲労と激しい後悔が残った。あの延長30分の間、自分は物欲の鬼となっていたに違いない。
競り落としたアクセサリーは近日中には届くだろう。その時、自分の中の物欲の鬼は笑う。

2014年9月28日日曜日

C.Wiliams / Fanfare and Alegro それから100本目

探していたLPを入手。マーキュリー原盤のクリフトン・ウィリアムズ、ファンファーレとアレグロ(SRI75094) 。ほかにモートン・グールド「ウェスト・ポイント交響曲」、パーシケッティの「吹奏楽のための交響曲」など。演奏はフレデリック・フェネル指揮イーストマン・ウィンド・アンサンブル(EWE)です。CDはすでに持っておったがリンカンシャーの花束が収められているLPを聴いて、音の良さに感心し、是非ともこの曲もLPで聴いてみたいと常々思っていた。よく買い物をする仙台レコードライブラリー(勝手に仙レコと呼んでいる)の通販リストにそれを見つけて早速注文。先日届いた。
フィリップスのゴールデン・インポートシリーズの一枚でマーキュリーがフィリップスに買収されてからのもの。フィリップスのドラティの録音はほとんどがマーキュリーの録音になる。オリジナルはマーキュリーのSRシリーズ(SR-90220)だけれど現在2万円ほどで流通していて、手が出せない。幸い、このシリーズ、それなりに音が良い。場合によってはCDよりも好ましい音で鳴ってくれる。
さて、そろりと針を落としてみる。やっぱり違う!LPの方が少しだけ音に膨らみと広がりがでるようだ。空気感というか空間性の表現はLPの方が勝っている。CDのほうがタイトでキツイ印象。LPがユルイのではなくCDがキツイのだと思う。何度聴いてもトリハダが止まらない。

この前、長野市の中古レコード店Goodtimesの店長さんと話していて、そこは買取りもしているのだけれどお客様には現物を見て、手に取って買ってほしいので店頭販売に力を入れているのだと言っていた。隣県の大型書店にも商品を置いてくれているのはそういう理由からだとか。実際、サテライトへの商品の搬入だとか入れ替えにはコストと物理的な労力が掛かるだろう。ネットでの通販のほうがはるかに楽だろう。やはり正直なところ経営はキツイともおっしゃっていた。お客からすれば、こういう良心的なお店は安心である。でもこういうお店が淘汰されてしまう今の世の中、何か間違っていないかい。

昨日はKazuさんとうな君が我が家に来た。遠いところありがとうございました。音の調整はまだ途中でしたが、音の方は概ね好評だったようでちょっとホッとした。自分としてはもう少しマイルドにならないかなと思案しているところ。限られた時間ではあったが楽しんでいただけただろうか?そこはチョッと心配である。心配といえば御嶽山の噴火だ。規模は小さいとの発表だけれど突然の噴火。ちょうど紅葉の季節。登山者も多かったようで安否が心配だ。

さて、この記事で100本目となった。思っていることを文章にするのは非常に難しいことだと痛感。労力もいる。基本、面倒臭がりなので、データを省いたり、良く調べもせずに適当に済ませてしまいがち。怖いのは以前書いたことと全く反対のことを書いていないかということ。これだけはホント怖い。これからもよろしくお願いいたします。

             Fennell, Eastman Wind Ensemble - Gould: West Point Symphony etc.


2014年9月21日日曜日

夏の名残り Sir John Barbirolli / Delius Orch. Works

今週末は良い天気に恵まれた。昨日は念願の布団も干せたし、今日の午前中は町内の運動会でした。ちょっとメンドクサイ気もするが、大事な地域交流。これも無事終了。お昼は食事に出がてら、近くのぶどう園へ。子供の頃は秋になると父の友人がやっているぶどう園によく行ったものだ。お弁当を持ち込んで、ちょっとお手軽なピクニックのようだった。そういえば子供の頃の我が家の庭には2羽ニワトリ、はいなくて、小さいながらも葡萄棚があって、数房の巨峰が採れた。粒も小さく、たくさんついてはいなかったし、あまり甘く無かったことを思い出す。酸っぱい葡萄、ってなんかなかったかしら?今も葡萄狩り(といっても、ちょっと試食して何キロかの葡萄を買い込むだけ)は我が家の夏の終わりから秋の初めにかけての恒例の行事になっている。箱詰めを待っているあいだ、試食の葡萄を摘まみながら葡萄棚越しに見える、抜けるような青空を渡る心地よい風を受けていると、「夏の名残り」という言葉とともにディーリアスの音楽のイメージが浮かんだ。
デーリアスのような音楽は閉め切った部屋ではなくて、是非とも屋外で聴きたいなあ。日差しと気持ちいい風、それに鳥の囀りがきっと合うことだろう。

ディスクはちょっと前に紹介したバルビローリ(EMI CMS 5 651192)を。BritishComporsers シリーズの1枚。以前のブログ(こちら)でも書いたビーチャムの演奏が好きな自分だけれど、このバルビローリ盤も好きになった。歌い回しが絶妙でとってもチャーミング。録音も当時のEMIのちょっとフォーカスの甘い寒色系の音色がディ―リアスにマッチして、より一層、郷愁を誘う。




2014年9月20日土曜日

ぼんくらキター!

宮部みゆきの時代ミステリー小説「ぼんくら」。そのドラマがNHKで10月から放映決定!
現在、NHKでは「おそろし」というドラマを放映中。こちらも宮部みゆきの小説が原作となっている。宮部みゆきのミステリーは現代物も良いけれど、個人的には時代物の方が好きだ。最近、宮部みゆき原作の連続ドラマが多い気がする。TBS系列では「誰かSomebody」「名もなき毒」に続いて「ペテロの葬列」がこの前まで放映されていたし、NHKでもちょっと前に「小暮写真館」がドラマ化された。どれも良く売れている本だし、話もしっかりと作りこまれているのである意味映像化しやすいのだろうか?視聴率もある程度取れる見込みがつくのかもしれない。
どれも数回のシリーズになっていて、原作に忠実と思われる。原作のディテールを壊すような設定はないので、原作を知っていて、結末がわかっていてもドラマに入り込みやすい。そうだったそうだったと原作をなぞるように観ることができる。

さて「ぼんくら」、ドラマが始まる前にもう一度読み返してみようかな。


2014年9月13日土曜日

BCJO

BCJO。それはBerlin Contemporary Jazz Orchestraの略。1996年に来日。柏崎での公演を聴いた。その時の強烈なリズムと不協和音、フリーインプロビゼーションにとても興奮した。この公演以来ジャズを嗜むようになった。ライブ盤を除くとリリースされたCDは下の1枚のみ。3曲収録されている。なかでも1曲目のAna(Kenny Wheeler:ケニー・ウィーラー)がお気に入り。神秘的なピアノの音に導かれ、ベース、管楽器が重なりドラムの刻みをバックにトロンボーン、トランペット、ピアノ、バリトンサックス、ついで4ビートにのってテナーサックス、アルトサックスのソロが現れ、興奮が最高潮に達した後、冒頭の主題が現れて静かに終わる。圧倒的なドライブ感。そこにエクスタシーを催すのだろう。

画像は上からBerlin Contemporary Jazz Orchestra(ECM1409)のジャケット。BCJOを主宰する指揮者、ピアニストのアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ、来日公演ライブ盤のバックジャケット。




EQの調整は続くよどこまでも

ヒーッ!やっとこさの週末。長かったな今週は。疲労困憊? 3連休が有難い。
週初めの秋祭りには子供会役員として参加。コレが結構大変であったな。打ち上げでは飲まないわけにもいかず、というか積極的に飲んだのだけれど。まあこれで子供会の行事も大方終わったことになる。
よって今週は落ち着いて音楽が聴けなかった。昨日、久しぶりに音を出してみた。
まずは、軽めな音楽、ということでデュトワのフレンチ・コンサートを、ついでLvBの2番。こちらはマッケラス/RLPO(ロイヤル・リヴァプール・フィルの演奏で。
我が家のシステムは以前に比べて、活き活きと鳴るようになった。7月にEQの神様が降りてきたこちら。が、ここまではほんの下書き、大まかな輪郭が描けたに過ぎない。細かな調整が必要で、音楽を聴きつつ、お気に入りのCDの気になる部分、例えば大きく膨らんで聴こえるような周波数帯域はEQのボタンを上げ下げしながら調節。これが気の遠くなる作業なんだな。途中で嫌になったり、煮詰まってしまうこともしばしば。けれども少しづつ少しづつ、思い描く理想の響きに近づいていくのが楽しい作業ではある。そんな地道な作業の結果、最近になって、嬉しいことに音が少しだけスピーカーの後ろにも広がるようになった。これまでは奥行きに乏しく平板な感じでベターッとペンキを塗りたくったような感じがしたものだが、当初より低音域を下げたことで中~高音域が浮かび上がるようになったと思う。それにあわせて音が耳の高さより上の方に広がるようになった。目下のところ目標の7割8割ほどといったところ。今後はもう少し潤いのある響きを目指したいなあ。

タイトルは♪線路は続くよどこまでも~ から。北陸新幹線の開業を半年後に控え、ザワザワしている上越市。上越妙高駅の周辺も開発が進んで、昔の面影はなくなってしまった様子。新幹線、嬉しいのですよ。嬉しいんだけれど、あの高架だけは・・・。なんだか風景が断ち切られてしまった感じがして、妙に切ない。

画像は以前のEQカーヴと現在のもの。30~200Hz、2500Hz付近のレベルを下げている。実際は併せてパラメトリックEQでピークを叩いている。ディップは基本、いじらずそのままにしている。






2014年9月7日日曜日

NFL & F.Fennell/EWE. Holst Suite No.1&2,RVW Forksong Suite &Toccata Marziale

いよいよこの季節がやってきました。
そう、NFL開幕。とは言えそれほど熱心なファンではなく、テレビ中継での観戦ぐらいですがそれでもやはり開幕は気合が入ります。なんといっても今シーズンの開幕戦は我がシアトル(シーホークス)とグリーンベイ(パッカーズ)。昨シーズン、スーパーボウルを制覇したシアトル。今シーズン、連覇なるかというのが大きなポイント。攻撃陣はビースト、RBリンチ初め昨季と大きな変わりはなく今年も期待が持てる。これなら大丈夫、かな。

さて、先日の長野行ではマーキュリー録音のホルストの(吹奏楽のための)組曲第1番、第2番とRVWのイギリス民謡組曲、トッカータ・マルツィアーレがカップリングされたLPを買った。この4曲を含むCD、LPはこれで4組目。国内盤CDとLP、それに海外盤CD、LP。55年の録音なのでもともとはモノラル録音なのだが、国内盤はCDはモノラル(モノラルの表示だが疑似ステレオくさい)、LPは疑似ステレオで、海外盤はモノラルのまま。国内盤LPは疑似ステの効果はそれなりにあって、広がりが出たことで音が軽く聴きやすくもあるが、マーキュリーの持ち味である音の生々しさ、音の存在感は少し失われてしまった感じがする。録音された55年ともなるとモノラル録音でもレンジも比較的広く混濁も少なくなって随分と聴きやすい。とくにLPはMono針のカートリッジでトレースしてあげるとバックグラウンドノイズが減り音がスーッと浮かび上がり、グっと締まった感じになる。
4曲すべてが名曲なんだが、ことにホルストの第1組曲はやはり良い。何十回、いや何百回と聴いてきたが今だに飽きることがない。 このフェネル/イーストマン・ウィンド・アンサンブル盤は自分は永遠のスタンダード。無人島へ持っていく1枚かな。フェネルはデジタル期に入って、テラークに再録音している。録音も良いし、落ち着いた演奏でこちらも名盤なのだが、マーキュリー盤はEWE創設当時のフェネルの意気込みがアンサンブルに勢いや一体感を持たせているようで熱い。

最初に買ったのは国内盤CDで、音にも満足していたけれど、プロデューサー、ウィルマ・コザート・ファインが監修した音(国内盤よりはるかに音が良い)で聴いてみたくて、海外盤CDを買った。次いで国内盤LPを購入した。疑似ステレオで音の傾向は似ているがLPのほうがクッキリとした印象。海外盤CDは3枚のなかではやはり一番マーキュリーらしい音がするが、わずかに音が硬いのが惜しい。カップリングがO.リードやメニンというのもうれしい。
今回買ったLP、もちろんマーキュリーのオリジナルではない。レコード番号をみるとMRL2001となっている。マーキュリーのオリジナルはMG40015。MRL盤はPYEレコード傘下のニクサ・レーベルから発売されたイギリス盤かと思う。ネットで調べると、どうもPYE(ニクサ)は当時、マーキュリーと提携していたようだ。詳細は不明ながらレーベルにはメイド・イン・イングランドとプリントされておりイギリス・プレス。ジャケットはペラペラで盤は重く、硬いのでリリースはかなり前ではないかと思う。盤質はそれなりでノイズも目立つがこれは仕方ない。念入りにクリーニングしても取れないノイズはあきらめよう。イギリス盤にありがちなビニール焼けが無いだけマシである。音のほうはオリジナルには及ばないのだろうが、カッチリとした音で重いパンチのようにずっしりとボディーに効くかのような重心の低いもの。それこそノックアウトされてしまったのであります。

画像は上から今回買った海外盤LPと所有している国内盤LP、海外盤CD、国内盤CD。







2014年9月2日火曜日

Sir John Barbirolli/Elger Sym.1

先日の長野行ではバルビローリのCDを4タイトル購入した。エルガーの交響曲とエニグマ変奏曲、それにディーリアス。すべてブリティッシュ・コンポーザー・シリーズ。このシリーズのなかなかに落ち着いたジャケットのデザインが気に入っている。赤地に白文字のEMIのロゴもいまとなっては懐かしい。エンジェル・マークからEMIロゴに変わったときも違和感はあったが、今のあれはいけない。ワーナーのマーク、なんだか寂しくないかい?今のところ自分は買う気にならないな。あれは。

エルガーの1番です。一聴しての感想は、これこそ耳福というもの、という一言に尽きるのであります。まず、何といっても63年の録音としては驚異的に音が良い。見れば、ビクター・オロフの名前がプロデューサーとしてクレジットされている。キングズウェイ・ホールとオロフの組み合わせ、これはもう鉄板でしょう。そしてバルビローリの演奏は何も文句のつけようがない。もうパーフェクトなんだな。これをパーフェクトと言わずして何とする。第1楽章のしみじみとした冒頭の歌い出し。第4楽章のうらぶれつつも何か内に秘めた熱い決意。情緒過多の傾向のあるバルビローリだがここでは知情意のバランスがよく、崩れをみせない。これまでバルビローリのディスクをいくつも聴いて来たし良いと思ってきたけれど、ここまで気持ちが揺さぶられ、心踊り、心奪われる体験はシベリウスの5番以来無かったように思う。
ああ、こんな素晴らしい演奏があったなんて!という喜びと、どうして今までこれを聴かなかったの?という落胆のフーガ。
エルガーについて、自分はそれほど良い聴き手ではないけれど、こんな演奏なら好きにならずにいられようか?
こんなワクワク、ドキドキを期待してディスクを買うんだった、ということをしみじみと思い出した。やめられるわけがないですよね。ホント。


2014年8月31日日曜日

SEKAI NO OWARIではなく・・・

タイトルは娘の好きなロックバンド、というかまあロックバンド。音楽は聴いたことないけれど名前は知っている、という方もいることだろう。自分には良さがさっぱりわからないが、娘はいたくお気に召している様子。土曜日は新潟で音楽イベント“音楽と髭達2014”があり娘と妻は出かけて行った。早朝に。もちろんSEKAI NO OWARIが出演する。ということでこの週末はフリーの身に。昨日は長野へ行ってきた。もちろん中古CD・LPを求めての旅。獲物をざっと紹介すると、バルビローリのエルガーを3枚。それにKazuさんイチオシのディーリアス。LPはシノポリのラヴェル、レーグナーのミヨー、デュカス他、吹奏楽などなど。
長野市には中古ショップが2つある「アンサンブル」さんと「Goodtimes」さん。そのうちのアンサンブルさんが年内に閉店とのこと。残念。

今日は、SEKAI NO OWARIならぬ、世界の創造。世界の創造はフランスの作曲家ミヨーの作曲になるバレエ音楽。ミヨーはフランス6人組のひとりで、多作家。複調性、多調性を多用したことでも知られる。音楽は明るく楽天的で同じ6人組のオネゲルとは対照的か。世界の創造はジャズを取り入れて作曲されている。サキソフォーンのレガートでまったりと始まって、ご機嫌な中間部を経て再びまったり としたブルースで終わるこの曲。15~20分くらいの短いもの。5つの楽章からなるが続けて演奏される。もとは17人編成の小オケの曲だったが後にピアノ5重奏にも編曲されている。
この曲、イトコのうなぎ君から「ミヨーは見よう見真似で作曲を学んだ」というくだらないダジャレとともにレーグナー盤を聴かされたのが始まり。それ以来、ミヨーが好きになってしまった。ダジャレはノーセンキューだけれども、うな君にはセンキューと言っておこう。
世界の創造もレーグナー盤を初めとしてラトル盤、バーンスタイン盤など数種を集め聴いたが、やはり最初に聴いたレーグナー盤が良い。レーグナー盤は企画としては東ドイツのオケが演奏するフランス、スペインものだが、これがなかなか上手くハマっている。ラトルやバーンスタインのようにジャジィな雰囲気を押し出した勢いのある演奏ではやや一本調子になりがちなところをレーグナーはジャジィさを持ちながらも決して弾き飛ばさず落ち着いた雰囲気でもって聴かせる。録音もシルキーでいい。
この曲もそうだが最初に聴いた盤が今でも一番良い、好ましく聴こえる。曲も魅力的だけれどやはり演奏がいいことが大事なのだろう。

8月も今日で終わり。

                                


2014年8月23日土曜日

Delius 150th Anniversary edition.

いよいよ、甲子園も準決勝。新潟県民がこれほどまで浮かれ,興奮することもないだろう。なにせベスト4。いやがうえにも期待が高まるというものだ。神様~。ゼ・ヒ・ユ・ウ・ショ・ウ・サ・セ・テ・ク・ダ・サ・イ。オ・ネ・ガ・イ・シ・マ・ス。とってもいいコ達なんですよ~。お頼み申します~。
5年前の決勝戦まで勝ち進んだとき、これは県民のテンションはMAXであった。うん。その年の年末、NHKでは夏の甲子園、日本文理の全試合を再放送したくらいだからね。びっくりしたのは勝つうちに段々と選手の顔つきが「らしく」なってきていること。いい面構えだよ。自信に満ちた顔だ。さあ、あとはタフさがカギか?頑張れ文理!

さて、全く関係なく、ディーリアスです。いつ買ったか忘れさせてしまうディーリアスの力。生誕150周年記念だから2012年だったか。たしかデッカも記念のBOXを出していたと記憶している。そちらのほうが録音も良いだろうと思ったが、EMIのセットにしたのだった。決め手は古い録音が多かったこととビーチャム卿の録音が多く含まれていること。ディーリアスの音楽は曲によって(特に声楽曲)派手でとても色彩的。でも、全体としては淡いモス(こけ)やそっと庭に咲くすみれの淡い紫色を連想させる。なので、あまりレンジは広くなくて良かろうと。録音が古くても良かろうと。きっと、そのほうが似合うに違いないと確信したのだな。そして、何といってもビーチャム卿なんである。ディーリアス・ルネッサンスの功労者にして伝道師ビーチャム卿。ディーリアスと卿は自分のなかにあって切っても切れない組み合わせだ。楽壇の異端者であったディーリアスを擁護したのがビーチャム卿であった。なお買ってからわかったことだけれど、ビーチャム卿のスピーチも収録されていた!これはうれしいサプライズ。

ディーリアスを知ったのはレコ芸の連載されていた三浦淳史の「スクラムサイド」であった。海外の音楽事情を紹介する記事であったが、分けてもイギリスゆかりの音楽家について(その音楽家のエピソードやサイドストーリー)が平明かつさらりとした文体で 書かれていた。ジェントルでチャーミングなその文章はイギリス音楽とその演奏家を身近なものにしてくれたものだ。氏のディーリアスに対する熱の入れように音楽を聴き始めた自分は興味津々。自分が好んで聴く音楽をいま改めて眺めてみても、音楽を聴き始めた自分の道標となったことは間違いない。ビーチャムをはじめ、バルビローリ、デュプレ、ボールトにRVW、エルガー、ディーリアスは三浦淳史の記事で知ったし、まだ聴かぬその音楽に憧れたものだ。残念なことに、もう、こんなチャーミングな文章を書く人はいなくなってしまった。時代が違うんだな。いま、手元には「アフターアワーズ」という本がある。いまでも折に触れて目を通すことが多い一冊である。

EMIのディーリアスBOX、実はまだ18枚全部を聴き終えていない。まあね、気が向いたときに、ふと聴きたくなるのがディーリアス、なんじゃないかと思う次第であります。(と、最後は伊丹十三風に終わってみる)



2014年8月20日水曜日

E.Ansermet I.Stravinsky/The Soldier's Tale

お盆明けの初っ端から早退してしまった。寝不足に加え、朝から蒸し暑くひどく汗をかいた。そのせいか身体を冷やしてしまったようだ。ひどい不快感と下痢に見舞われてしまった。無理をせず早退させていただいた。高校野球は新潟代表の日本文理が5年ぶりの3回戦進出と大健闘。北信越勢の活躍が目立つ。

ストラヴィンスキーの兵士の物語(London SLC1946)。中古レコード屋で購入。この曲を初めて聴いた。もともとは朗読と演劇、バレエによる舞台作品とのことだが、アンセルメとスイスロマンドO.の演奏は交響組曲版で朗読がないもの。編成は小さくバイオリン、コントラバス、クラリネット、バスーン、トランペット、トロンボーンにパーカッションという編成。ハルサイから5年後の1918年、新古典主義時代初頭の作品。今年は第1次世界大戦開戦100周年にあたる。当時はまだ第1次世界大戦が続いていたはずで、大戦が創作のきっかけとなったはずだ。シンプルな編成ながら、そこはストラヴィンスキー。色彩感豊かな曲になっている。このLP、録音データの記載がないのではっきりしたことはわからないが、60年もしくは56年の録音のよう。BPOのコンマスとして有名なミシェル・シュワルベの名前がクレジットされている。

アンセルメは好きな指揮者のひとり。往年のデッカを代表する指揮者。指揮テクニックを云々する向きもあるが、半世紀にわたってスイスロマンドO.を率いていたのは伊達ではないと思う。情に流されることのない演奏が好きでコレクションしている。基本、バレエ音楽や近現代ものが得意だがブラームスの交響曲は隠れた名盤。得意といわれるハルサイやバルトークなどでもヨレてしまう部分が散見される。オケの技量不足、指揮者の統率力の低さを指摘するのは簡単だ。今の演奏スタイルよりはメロディアスに演奏され、妙な艶めかしさ、それと危うさ・脆さ、儚さがアンセルメの演奏にはあると思う。

例年、新潟勢は初戦敗退が多く、新潟県民の甲子園はお盆前に終わってしまうことが多い。5年前は決勝で惜しくも敗れ準優勝に終わった。今年はどうだろう。

2014年8月16日土曜日

S.Barber Vn.concerto K.Takezawa , L.Slatkin / SLSO.

昨日は久しぶりの同級会。とても楽しかった。あんなに楽しい飲み会はホント久しぶり。いわき市で頑張っている者や南三陸に出向している公務員などもいて、やはり3.11とその後の東北は身近なことだと痛感した。しかしみんな変わっていなかった。恩師は御年78歳だが、壮健で話しぶりも当時と同じでちょっとウルウルきてしまったよ。びっくりしたのは同級生だった女の子(当時はヤンキー風)が妻と同じ職場だったこと。エーッ、マジか?彼女曰く、お前にはもったいないヨメ、だそう。

バーバーのバイオリン協奏曲自分にとって大切な1曲。妻と交際中に行ったコンサートで聴いた曲。
今ほどメジャーではなかったデヴィット・ジンマンとボルチモアSO.とソリストはアン・アキコ・マイヤースだったな。冒頭のメロディアスな歌い出しに完全にノックアウト。思わず彼女の手を握っていたなあ。もう20年近く前の話。

CDは3種持っているが、今回は竹澤恭子とスラトキン/セントルイス響のものを。コンサートのあと早速にCDを購入。その時はギル・シャハムとプレヴィン/LSOのものだった。その後にこの竹澤盤、それからスターン盤を聴いた。竹澤盤はRCAの録音のシルキーな質感とバイオリンの音色がよく合っている。スラトキンとセントルイスのサポートもうまい。3種のなかでは一番気に入っている。2枚組で主要な協奏曲と交響曲の1番、弦楽のためのアダージョ、メデアを収録。弦楽のためのアダージョはミュンシュ/ボストン響の演奏でこれも優秀録音にして名演。


2014年8月13日水曜日

夏のJB

あるブログのコメントに、夏にブラームスを聴くのは鍋を食べるようなもの、といったことを書いてしまった。要は夏にブラームスって暑苦しいだろうに、聴いてられるかい!ってこと。送信した後、ちょっとした後悔の念が脳裏をよぎる。そのブログの主は大変な紳士、いや聖人で不躾なコメントにいちいち腹を立てるような方ではない(ここで軽くけん制してみる)が、返しのコメントで昨日は鍋を食べたと書いている。やってしまった!やっちまったよ・・・。まさか夏に鍋とは・・・。何鍋?石狩鍋?三平汁?とはさすがに聞けなかった。しかし、鍋といってもアツアツとは限らんではないか、冷たい鍋というものもあるんじゃネ?冷やし石狩鍋? ねえヨ!あるわけネー!

(お詫び*ここまでのくだりは小心者である筆者のアワアワした感情を敢えてこのような文体、表現を用いて表しています。全く他意はございません。)

ということで、今日は少し涼しいし、反省の意味を込めてJBを聴いてみることにした。曲はハイドンの主題による変奏曲。ザンデルリンク/ベルリン響の演奏。ハルモニアムンディ盤。とても自然な構え。力みのない演奏。
夏に聴くブラームス初級編といったところ。
おお!思った以上に良いではないか。なんだか温かいお茶を啜っている感じ。汗が引いていく感覚。

結論。暑気払いにいいかも、ブラームス。今度は1番に挑戦だ!



2014年8月10日日曜日

Issac Stern / LIfe in Music 3&4

先日、amazonを覗いてみたら先日紹介したスターンのBOXセットの3と4があった。早速妻にお伺いを立てたところ、ボーナスも出たんだし(買っても)いいよ、ということで注文。今日、届いた。このBOXシリーズ、発売は96年頃でCDショップの通販サイトでは廃盤になって久しい。自分も一時中古ショップで探したけれど見つかってもちょっと手の出ない値段であった。今回amazonでも新品と中古品の出品があったが中古品はかなり強気な値段だった。今回買った新品はそれぞれが12枚組で3500円ほど。昨今の廉価BOXからするとやや高いけれどそれぞれのCDがちゃんとケースに入っているのもいい。ただしパッケージに難がある。ケースの上のほうにシールがペタリと貼られている。ちょっと前までよく見られたが最近では少なくなったけれど。このシールを剥がすのが一苦労。たいてい失敗して糊がケースについてしまう。ペタペタしていて気持ちワルイ。仕方なく溶剤系のシール剥がしで糊を取る、この作業もメンドクサイ。

今日はブラームスのソナタとベートーヴェンのピアノTRIOを聴いた。ブラームスは名盤の誉れ高い演奏。録音は60年のステレオ録音で、スターン40歳の時の演奏。自分はシェリングとルービンシュタインの演奏を良く聴いているが、シェリングの抒情的なアプローチとは異なり、男性的で太く安定感のある美音とテクニックでj縁取りもくっきりと聴かせる演奏。ザーキンのピアノも粒立ち良く端正だ。
「大公」はイストミンのピアノ、ローズのチェロ。冒頭のピアノ、続いてチェロ、バイオリンと主題を受け渡す箇所を聴いただけで「やられた~」「ムフ~」となってしまった。ゴージャス感がハンパないです。気品溢れる凜とした姿がイメージされる演奏となっている。まさに耳福。

さて、2セット計24枚のCD。おとなの夏休みの宿題である。夏休み無いけど。



2014年8月9日土曜日

Issac Stern / Life in Music 2 ~大事にしているレコード3

大事にしているレコードと言いつつ、CDの話。
最近、HMVのサイトにスターンのブラームス集の広告が載った。う~ん、欲しい! 欲しいがかなりの曲が所有ディスクと被ってしまうなあ。
ブラームスの協奏曲をスターンは2種、オーマンディとメータ指揮で残している。録音は古いけれども60年代、オーマンディ盤のほうがよい。今回のBOXはメータ盤。ちょっとがっかり。
スターンは好きなバイオリニスト。亡くなってそろそろ13年になる。スターンの亡くなった2001年9月22日は9.11の直後でもあり、それほど大きく報道されることもなかったが後で知ったときは結構落ち込んだ。
残念なことに、これまでスターンの録音がまとまって出たことはない。人気がないのだろう。決して華のある演奏家ではないけれど、あのハイフェッツも嫉妬したという卓越したテクニックと美音の持ち主。ユダヤ系故、いろいろと揶揄する向きも一部にはある。スターン最大の功績は何といってもパールマン、ズーカーマン、マ、ミンツ、そしてMIDORIといった現在一線で活躍する多くの弦楽器奏者を見出し、育てたことだろう。

タイトルのCDは確か、存命中に発売されたのではなかったか。4つのBOXに分かれており、分売もされていたと記憶している。バッハからバーンスタインまでの協奏曲、室内楽、ソロが網羅されている。ジャケットのデザインも当時の写真とバイオリンの組み合わせられ雰囲気がいい。自分が持っているのは2つ目のBOXで、近現代の協奏曲を集めたもの。ペンデレツキやデュティユーなどは確かスターンの委嘱作品だったと思う。円熟期を迎えた80年代の演奏も良いが、60年台の 壮年期、40歳ころの演奏が勢いがあり、絶頂期のスターンが聴ける。スターンのテクニックは60歳を迎えた80年代もあまり衰えなかったが、壮年期のスターンはもっと凄みのある演奏を聴かせていたように思う。ビシッと張った美音は決してヨレず、小細工なしにバリバリと弾きこなしていても気品を失わない演奏は聴いていて爽快ですらある。
今なら、もっと安くなりそうなんだけどなあ。SACDとは言わないので良質なリマスタリングでまとめてだしてくれないかなあ。


                                   Stern;Life in Music 2

2014年8月2日土曜日

Burt Bacharach South American Getaway 12 Cellisten der Berliner PHIL.

自分の好きな作曲家にバート・バカラックがいる。POPS畑のひとではあるが、音楽教育はミヨー、マルティヌー、ヘンリー・カウエルから受けている。
ディオンヌ・ワーウィックやカーペンターズに作詞家のハル・デヴィッドと組んで楽曲を提供したことでも有名だ。代表曲は枚挙に暇がないがカーペンターズのClose To You(邦題:遥かな影)がもっとも知られているだろうか。自分はやはりディオンヌが歌ったものが好きだ。I Say Little Prayer,I'll Never Fall In Love Again など…。どれもキュートで素敵だ。

サウス・アメリカン・ゲッタウェイは映画「明日に向かって撃て!」のなかの1曲。この映画の主題歌「雨に濡れても」のほうが良く知られているだろうか。
ほかには「007カジノ・ロワイヤル」のサントラ盤。映画の方はイアン・フレミングの原作ながら原作のエッセンスはわずかでシリアスな007シリーズとはまったく別もののコメディ映画。3人のジェームス・ボンドが登場し、最後はカジノ・ロワイヤルで大騒ぎするというハチャメチャなもの。サントラ盤は曲も秀逸ながら、ジャケットのデザインも当時を反映してサイケデリックで、これも秀逸。.



2014年7月29日火曜日

カー・レイディオの魔法

短いっす。
今朝、運転中にラジオをつけるとマーラーの3番の第1楽章が流れ出した。なかなか良い演奏だ。録音は最近のものかと思われたが結局演奏者はわからないままに職場に到着。帰ってからNHKのサイトで調べるとブーレーズ/VPOだった。ブーレーズってあんなに良かったっけ?と思いながら手持ちのCDを聴いているが、今朝ほどではない模様。
帰りはヴァントのブルックナーの4番の4楽章。今日はヘヴィでした。
でも、車の中で聴くラジオから流れる演奏は3割増しよく聴こえるような気がしませんか?


2014年7月23日水曜日

お酒を飲むと・・・ L.Maazel/PO. GM5

暑い!もうそろそろ梅雨があけてもいいんじゃネ?と空に向かって聞いてみた。返事はなし。この時期、いつもこじらせるのは甲信越問題。甲信越とはご存じ山梨(甲斐)、長野(信州)、新潟(越後)の3県。このときの“越”は間違っても富山や福井ではない。富山と福井は石川と合わせて北陸だ。で、甲信越問題。例年、梅雨明けは大概「関東、甲信地方が梅雨明けしました」と、甲信越のなかでも越後以外が先に梅雨明けする。新潟県人はこれになんとなく納得がいかない。今年も案の定、甲信地方が先に梅雨明けした。いつなんだ?新潟の梅雨明けは!

さて、こう暑いとお酒が美味しい。最近はビールではなくハイボールであることが多い。つまみはらっきょの甘酢漬けとキュウリの辛子漬け。酸味と甘み、らっきょの苦さがハイボールのピリッとした炭酸の舌触りにとてもあう、と思っている。しかしこのらっきょ、嫌いな人も多い。妻と娘も一切口にしない。美味しいけどなあ・・・。

ということで、お酒を飲んで音楽を聴くことが多い、というか常習化。そんな時は不思議と音も良く感じる。ややハイ上がり?判断力の低下か。いや、お酒を飲むと聴覚が鋭敏になるのか。そこのところは謎。皆さんはいかが?

と音がよくなった(と感じた)状態でマゼールのマーラー5番です。全くのカタルシスとか熱狂やエクスタシーとは縁のない演奏に仕上がってる。旧盤と同じ傾向だが、新盤はさらに拍車がかかっている。決して淡泊な演奏ではない。これまで同様、ゆっくりとした音楽の運びの中に更にテンポを落とすデフォルメがさく裂する。加えてポルタメントが強調されるので一層退廃的で耽美的で官能的だ。しかし、それがカタルシスや熱狂、エクスタシーといった感情や心の動きには結びつかないところが凄ある。退廃、耽美、官能が感情にすんなりとは結びつかないところは気持ち悪いというか、納まりがつかない感じだ。自分の持っていきどころがない、座りの悪さというか落ち着かなさがマゼールのマーラーにはあると思う。
でもそんな演奏ができるマゼールって凄いんじゃないかと実感した次第。やっぱり伊達に爬虫類顔していたわけではなかったのだ。
でも、これって深読みしすぎ??



2014年7月18日金曜日

L.Maazel/PO. GM1&2

現在パートタイム・ワーカーの自分。いつも3時半上がりだ。が、いつもちょっとした寄り道をして帰ることが多い。今日は、先日頼んだマゼールのCDが届いていることを祈りつつ寄り道をせずに帰宅した。今日、妻は朝から具合が悪く、(仕事)休んだら?と悪魔の囁きを残しつつ自分は出勤。帰ってみると妻は横になっている。休んだようだ。早いお帰りね、と妻。あなたが心配で・・・、と自分。ウソ!CDが気になっていたんでしょ!と妻。・・・テヘ、さすが妻、バレたか・・・。子供のお迎えと夕飯の支度を約束して、早々に自分の部屋に引っ込んで開封。聴く。

依然、左右の音量差に悩まされている自分。聴く前には一旦、モノラルで再生して、音像が中央にくるように調整する儀式が欠かせない。先日、左右のスピーカーを入れ替えてみたが症状はそのまま。となるとドナルド、CDPかPreAmp.はたまたEQが原因かと思うのだがもういい加減に嫌気が差して、放っておくことにした。お仕置きだ!そのうちNさんのトコで様子を見てもらおうと考えている。

さてCDのはなし。これは紛れもなく、マゼールの(当たり前だけれど)、マーラーだ。ウィーンPO.との演奏と基本、変わらないように思われた。デフォルメ上等!テンポはさらに遅くなった。だが、強引なところは鳴りを潜め、歌い口は以前にも増して雄弁かつ自然で、優しい。淡泊な響きはオケの違いによるのかも?全体にマゼールの余裕といったものが感じられる。マーラーの交響曲、もう皆さんも良く知っているよね?じゃ、こんなアプローチはどう? といった感じ。音の響きで聴かせる感じだ。ちょうどブーレーズの幻想交響曲の新盤に似ているなあと思った。ライブ録音ながら拍手はナシ。曲の途中で咳などのノイズは入るがあまり気にならない。録音は水準はいっている。
 
この連休は新盤、旧盤とっかえひっかえ、マゼールのマーラー漬けだぜ! ウヒヒ・・・。


2014年7月16日水曜日

L.Maazel/Cleveland o. Tchaikovsky Sym.5

天気予報では今日も31℃の真夏日になるという予報だったが、朝から雨模様で気温も30℃まで行かず、大変過ごしやすい一日だった。でも天気同様、自分の心も晴れない一日だった。
昨日の朝、新聞でマゼールの訃報に接し、帰宅後何か聴こうと思いながらも音楽を聴くことができなかった。

ようやく、今日になって少し気持ちも収まったので何を聴こうか考えた。MUUSANがススメてくれた新マーラー全集(現在1~6番まで発売済)も買いそびれてしまっていて、旧全集も良いけれど食指は動かず・・・。マゼール好きながらディスクはあまり持っていないのです。
ということで、クリーヴランドO.とのチャイコフスキーの5番をチョイス。デジタル初期、80年の録音。劇的、感動的に演奏しようと思えばいくらでもできるこの曲。マゼールは努めて抒情的に演奏している。以前はよくもこんなに平板かつ無感動に演奏できるなと思ったものだ。他の劇的な演奏に慣れてしまっていた耳にはひどくつまらなく聴こえた。しかしこれほどつまらなく演奏できるマゼールの才能というか度胸に感心したことも間違いない事実。しばらく後のVPOとのマーラー全集でも決して感動的とは言えないけれど大きくデフォルメを施し、マーラーの肥大したグロテスクさを鮮やかに暴いてみせた彼。チャイコフスキーの甘ったるいセンチメンタリズムや高揚感をさらけ出すことなど容易だったはず。それを敢えてせず、センチメンタルな部分やダイナミクスをグッと抑えることでこの曲の持つ強靭な精神を浮き彫りにすることに成功しているのではないか?そんなことに気が付いたのはほんの最近のこと。

マゼールの演奏は表面上は非常に奇異な印象を受けるが、なかなか分かりにくいこと、理解されにくいことをやっていたのではないだろうかと考えることがある。評判もあまり良くなかった。でも、やっぱりマゼールの演奏には何か自分の心をひきつける何かがあった。

改めて、ご冥福をお祈りする。

新マーラーチクルスを注文した。マゼールの最後のメッセージをぜひ聴かなければなるまい。


2014年7月15日火曜日

ああ! なんということだろう

マゼールの訃報。先般のミュンヘン・フィル演奏会のキャンセルのニュースに、なんとなく覚悟はしていた。84歳。肺炎の合併症との事。
何か書こうと思い、パソコンを開いたものの、なんか、書けないですよ。ホント。

アバドに続きマゼールまで・・・。寂しいかぎりだ。

ありがとう。冥福を祈ります。

               

            

2014年7月13日日曜日

B.Walter/Columbia SO. LvB 6 &GM 1 ~大事にしているレコード 2

今日はお中元くばりのあと撮り溜めてあったドラマを観て過ごした。

オーディオの方は何とか形になってきたのでアナログを再開している。
本日はブルーノ・ワルターの2枚。ベートーヴェンの6番「田園」とマーラーの1番「巨人」。
田園は父が持っていたもので自分が買ったわけではない。子供のころ、今のリスニングルームは応接間となっていて、そこにはモジュラータイプの4chステレオのセットがあった。菅原洋一などと一緒にステレオセットのレコード棚(前面の蓋を開けるとレコード棚になっていた)にあったものだ。たぶん、それの付録だったのだろう、ワルターの厳めしい顔で指揮しているポスターもあった。子供の頃、仕事をしている父親の傍で聴いた記憶がある。聴いたというのは正確ではないな。遊んでいるところに流れていたというのが正直なところ。その頃はワルター何ぞは全く知らなかったし田園という曲の良しあしも分かるわけもなく・・・。田園よりはアグネス・チャンや山口さんちのツトム君をせがんでいたと記憶する。しかし刷り込みとは恐ろしいもの。様々な田園を聴いてきたが、自分の中でこれを超える演奏に未だ巡りあっていない。巡りあうこともないだろう、そんな演奏だ。
さすがに録音は古くなった。リタイアして第一線を退きビバリー老年白書を満喫していたワルター。余生の余技とも思える余裕の指揮ぶりがこの曲にまた、マッチしている。オケも技量については様々言われることが多いが、水準を行っていると思う。

もう一枚。マーラーの方は自分のコレクション。もらったお年玉で買ったと記憶している。
CDが出始めた頃の廉価盤でジャケットにNew Remixed Masterとある。どのようなものか不明ながら、ジャケットには要約すると以下のように書いてある。録音当時のプロデューサーであるジョン・マックルーアがオリジナル4chマスターテープより新たにトラック・ダウンしデジタルマスターを作り直したものを使用しているとある。嶋護によれば、これも要約するが、これまで発売されたLPは低域をバッサリとカットしトラックダウンされたものをマスターとしていた。国内盤CD(世界初CD化)の発売の際、マックルーアはオリジナルテープからCD用のマスターを作った。これはワルターがプレイバックの時に聴いていた音と同じものなのだそうだ。はっきりしたことは分からないけれども、この「巨人」のNew Remixed MasterとはCD用のリマスター、もしくはそのマスターからの派生物ではないかと踏んでいる。嶋によればオリジナルマスターの音はCDの国内初発盤とその後の再発盤(ソニークラシカル:SCとなる前までのもの)に限られるようである。但し、それが音が良いのかと言われると難しい。素材そのものなのですね。まあ聴きやすいのは別です。SC盤は聴きやすく上手くまとめられていると思う。パッケージメディアとして、十分にいい音がします。
このマーラーも今聴くとなんだかゆったりとして、細部には拘らず第1楽章から終楽章まで大きく弧を描くように描かれる。一面、厳しさに欠けるような抉りの浅いように聴こえてしまうが、やはりマーラーの直弟子だっただけあって説得力がある。そこに脱帽しひれ伏してしまう演奏だと思う。
この巨人について、指揮者の岩城宏之は新潮文庫「カラー版作曲家の生涯 マーラー」に寄せた一文で、ワルターと演奏したことのあるウィーンフィルの古参団員から聞いた話として次のように書いている。
「第一楽章は大地がただただ寒いのだ。春には遠い。最初のオーボエ二本の上行音は、まだ雪におおわれて土の中に眠っている種が目を覚まし、(中略)二楽章も春たけなわであるけれど、どこか悲惨な空気がある。すべてが圧迫されたユダヤ民族にたいする世界を表している。三楽章はチェコのどこかの田舎のユダヤゲットーでの物語である。コントラバスのソロで始まるが、死んだ仲間をみんなでかついで墓地に埋めるために、ゆっくりと行進する。(中略)第四楽章の冒頭のシンバルのフォルティシモは、あらゆる圧迫から立ちあがって、ユダヤ人の国をつくるための戦いの始まりなのだ・・・。」
pp196より引用

ワルターから、マーラーが練習でどのような注文を出したのかという話を聞いた楽団員が、それをイワキに話したようだ。なんだかとっても魅力的な話だが、出来過ぎ君のようにも思える。又聞きの又聞きの伝聞情報である上に、このような話はこれ以外に見聞きしたこともなく、自分は少々アヤシイ話として捉えている。

このLPのジャケットのトルソ、なんのトルソだろう?ギリシャ彫刻かとは思うのだが良く判らない。知っている方がいたら教えて下さい。



2014年7月12日土曜日

E.Svetlanov/USSR State SO. Rachmaninov Symphonic Dance ~大事にしているレコード

暑い。因みに新潟弁では暑っちぇー(あっちぇー)という。涼しいは新潟弁でも涼しい…、だと思う。自信ないけれど。

ラフマニノフのシンフォニック・ダンスはアメリカ亡命後、晩年の作品。確か遺作だったと記憶している。スヴェトラーノフとソビエト国立SO.のLPは高校生の頃に買ったもの。他にもマゼールやラトル盤が当時は入手可能だったと思うが、こちらはメロディアの廉価盤。その頃上越市の直江津にあった世界レコードというお店で買った。この店のレコード袋はカラヤンの横顔がプリントされていた。今になってとっておけば良かったなと思う。でも著作権や肖像権はどうだったのだろう?この店も既に無い。この世界レコード、レシートが次回の割引券になっていた。2800円のレシートを持っていくと1割、割引してもらえた。これもうれしかったなあ。期限はなかったと記憶している。今考えるとなかなかの太っ腹であった。この店の店長はTさんといって小柄で一見、冴えない感じのおじさんであったがクラシック音楽の知識もさることながら、LPのキズの修復なども上手く何度かお世話になった。市民吹奏楽団の団長もされ、近隣の音楽好きの中高生などから一目置かれる存在だった。
閉店後は仕事を変わられてしまい、お会いすることもなくなってしまった。
今、ネットでこの世界レコードを検索すると店名が災いし、世界記録やワールドレコードとなってしまい検索できなかった。七味、青春の思い出で、でした。

シンフォニック・ダンス、交響的舞曲にはラフマニノフの代名詞ともいえる「怒りの日」のモチーフが用いられている。曲想もラフマニノフらしくドラマティックかつモダンだ。終曲が特にカッコイイ。
スヴェトラーノフの演奏はこの曲を強靭な意志でパワフルにドライブし尽くした名演だ。欧米のオケや指揮者にはないゴリッとした感触が堪らない。

スヴェトラーノフ盤は72年の録音。弦がとても艶やか。当時のメロディアの録音技術の高さが伺われる。といってもモスクワでのセッションに限った話。レニングラードでのセッションはホールの関係なのか機材なのかはわからないけれどモスクワのそれとは一段、落ちるように思う。しかしそれもアナログ末期からデジタルへの移行期には体制の硬化とともに欧米に大きく水をあけられてしまった。メロディアは録音が悪いというのが通説だが、玉石混淆というのが正しいかもしれない。ムラヴィンスキー/レニングラードO.のウィーンライヴで評判を大きく落としたのも要因かと思う。もう一つ、日本では日本ビクターが発売元になっていたが日本ビクターのリマスタリングが丁寧だったことも良い結果をもたらしたように思う(xrcdを聴くと良く判ります)。といっても参考となる盤が手元に少なく、推測や個人的な印象でしかないのだけれども。

このLP、一時期、CD化されているだろうかと血眼になって探したけれども見つけることは叶わなかった。LPが聴けるようになってからは探すこともしていなかったが現在はRegisというレーベルから出ているようだ。よかった。このまま埋もれさすのはもったいない1枚である。ちなみに後年キャニオンに再録音されたものは入手しやすい。こちらも好録音で名演。甲乙つけがたし。