2014年1月31日金曜日

Khachaturian Gayane ballet Suite

先日、BSプレミアムのベルリン・フィル ジルベスター・コンサート2013の中継のなかでハチャトゥリャンのガイーヌ組曲を演奏していた。このコンサート、以前は大晦日の深夜というか元旦の午前1時頃からライブで放映していたがここ何年かは字幕などを付けてこの時期に放映している。
BPOとハチャトゥリャン、なかなかお目に掛かれない組み合わせ。土俗性は後退しているが、さすがベルリンフィル。これほどシンフォニックに響くガイーヌは聴いたことがない。楽団員も楽しそうに弾いていた。
若い若いと思っていたラトルのだいぶ老けた印象。貫禄がついたといった方が良いか。以前のような曲の隅々までコントロールしないと気が済まない感じはあるが同時に余裕みたいなものも出てきたように思った。
メインはラン・ランとのプロコのピアノコンチェルト第3番。まさに機能美の極致。ラン・ランの3番は以前アムステルダムコンセルトへボウO.の150周年ガラコンサートで3楽章の演奏を見たがこれも今回同様テクニックは抜群だった。涼しい顔で弾ききる様は痛快ではあるが、何か底が浅いというか、それだけじゃないよなあ~、プロコってという感じ。

さて、ガイーヌは組曲版が多い。作曲者の自演盤というのもイイけれど、自分はマーキュリーのドラティ盤をよく聴いている。録音は古いがホールの大きさがよく判る録音。ホール側面の反射音がよく捉えられていて空気感もよく出ているので自分はオーディオチェックに良く使っている。オケはロンドン響。60年、ワトフォードタウン・ホール。c/wはスクロヴァチェフスキのショスタコーヴィチの5番。こちらは若きミスターSのスリムな演奏。ややデッドな録音となっている。

ちなみに、このCD、国内盤は未聴ながら、マーキュリーのCDの傾向として国内盤は輸入盤に比べ音のフォーカスがやや甘く、ベールを1枚かけたかんじの音質のようだ。輸入CDはオリジナルのプロデューサー、ウィルマ・コザート・ファインが監修していることライナーに明記されている。最終的な音質についてコザートが決定しているのだろう。国内盤にはそのような表記がない。このあたりが音質の違いを生んでいるように思われる。それでも国内盤だけを聴いたなら十分に良い音だとは思う。

                    Sym.5: Skrowaczewski / Minneapolis.so Khachaturian: Gayane     

2014年1月25日土曜日

いよいよSuper Bowl WFBのその後

寒いながらも雪は少なく、今のところ雪かきをしないで済んでいるのはありがたいこと。
NFLはプロボウル(オールスターゲーム)を挟んでいよいよスーパーボウル(SB)だ。自分の予想通りデンバーとシアトルの対戦となった。シアトルのディフェンスがデンバーのQBマニングを自由に投げさせなければ勝機は十分と思う。しかし今シーズン絶好調のマニング、シアトルの苦戦が予想される。どんなドラマが生まれるか、3日が楽しみだ。
ちなみに、今年のSB、ルネ・フレミングが国歌斉唱を務めるとのこと。こちらも楽しみだ。

さてWFB。3週間が経ち、だいぶ馴染んだように思う。欠点が一つ、それはスピーカーのガタつきがわかりにくいという事。片側のスピーカーのスパイクとスパイク受けに隙間があって音がビリついていた。3日前のこと。いつから?スペーサーを挟み込んでガタつきは無くなったがちょっとショックキングな出来事だった。お恥ずかしい限り。
一度は断念したタオックボードをプリアンプの下に敷く件、袋ナットを3点支持でボードの下に貼り付けアンプを置いてみた。低音域がスッキリとした印象だが相対的にやや高音域がキツくなった。いわゆるハイ上がりの状態ながら音の粒立ちはくっきりする。そこで革のシートを2枚重ねて床とナットの間に挟み込み、EQにて低音域を2~3dBほど持ち上げ、高音域を1dBほど下げたところバランスがよくなり高音域のキツさは緩和された様子。こういう時EQは便利だなあと思う。

アバドの訃報に接して、ここ何日かはアバドの録音をよく聴いている。アバドのプロコフィエフ録音はどれもみな洗練やモダンさ、アバンギャルドなところばかりでなくプロコが西洋音楽の伝統の上に立った作曲家であること再確認させてくれる素晴らしい演奏だと思う。そういえばアバドは同じ近代ロシア・ソ連の作曲家でもプロコやストラヴィンスキーは録音しているがショスタコーヴィチは録音していない。このあたりアバドの美学のようなものが伺えると思うがどうだろうか。


2014年1月20日月曜日

アバド 追悼

クラウディオ・アバドが亡くなった。胃がんだそうだ。
さっきまでブラームスの4番を聴いていた。好きな指揮者、ではなかったけれど残念に思う。
自分が音楽を聴き始めたころカラヤン、バーンスタインに続く中堅指揮者のなかでも一頭地を抜いていたのがアバドだった。好きな指揮者ではないと書いたが、聴かず嫌いのところももあったかもしれない。ベルリン、ウィーン、シカゴ、ミラノ、ロンドンなど主要なポストを歴任したのはやはり音楽的な実力もさることながら政治的にも力があったことの証左だろう。持っている枚数は多くないもののアバドの演奏を聴くとどれも音のパレットの豊富さに感心する。
かつての中堅たちも巨匠となったが、レコード産業の衰退もありその音楽を耳にする機会は減ってしまった。そんな中アバドは胃がんを患ったが克服、その後も精力的に演奏活動を続け、録音を残した。これら残された録音は今後も聴かれていくのだろうと思う。

ご冥福を祈ります。


              交響曲全集 アバド&ベルリン・フィル

2014年1月19日日曜日

Anton Nanut の2枚

いよいよ冬本番というところか。この週末、雪は止みそうにない。
NFLもいよいよ大詰め、カンファレンス・チャンピオンシップが始まる。このゲームの勝者がスーパーボウルに駒を進めることとなる。応援しているシアトル・シーホークスには是非勝ってSBに行ってほしい。今年のSB、開催地はニューヨーク。天候コンディションが気になるところ。楽しみだ。

雪の降る夜は音楽が良く鳴る。というのも屋根の雪の重みで家が押さえつけられるためか、音の密度がやや増す。雪が防音の役目をして外からの騒音が減る。そんなことでついつい聴きすぎてしまう。

七味が密かに愛聴しているCDがある。
昔、ポニーキャニオンがクラシックに参入した際、スタンダード・クラシックスというレーベルを立ち上げ、旧ユーゴスラヴィアの国立リュブリャーナ交響楽団を中心に20タイトルほど発売していた。その後PCは自社レーベルを立ち上げて朝比奈やスヴェトラーノフなどの録音を開始した。
ボロディンの2番とバーバーの1番の2枚を買った。当時はこの2曲はまだ国内盤CDは出ていなかったように思う。値段は1枚1800円。当時にしては安いほうか?
その指揮をしているのがアントン・ナヌット(ナヌート)。始めてみる名前。演奏は至極真っ当、どころではなく十分に説得力のあるもので、音楽の流れを重視したもの。オーケストラはお世辞にも上手ではないけれど手を抜かず、指揮者によくついていっている。
ボロディンの2番はカップリング(逆か?)がチャイコフスキーの4番で、やや小振りながら気迫あふれる演奏。とくに第1楽章の終結部の煽り方、畳みかけはこの演奏の白眉。

その後も出どころの怪しいPILZなどのレーベルからナヌットのCDは発売されたが現在は見かけなくなって久しい。再発売されることもないだろう。チャイコフスキーの後期交響曲はなんとかレーベルを跨ぎつつも揃えることができた。あとマーラーが数曲。

バーバーの1番はいまでも数タイトルが出ているにすぎない。ほとんどが北米のオケによるものだ。ヨーロッパ、それも東欧の指揮者とオケが89年に入れているのはかなり先端を行っていたと思う。ヨーロッパのオケが何故?と思わなくないし、ヤルヴィ/デトロイトo.やスラトキン/セントルイスo.などが出ている今となってはやや霞んでしまうけれどもバーバーのロマンティックなところがオケとマッチしていてこれはこれで良い演奏だ。

ボロディンについてはいまだにこの演奏を上回るものはないように思う。コンドラシンやザンデルリンク、フェドセーエフなども良い演奏だが最初に聴いた演奏に対する愛着は強いという事か。









2014年1月11日土曜日

Maazel/VPO GM Sym.2

先日、当地は朝、氷点下となった。凍った路面で転倒、骨折は免れたものの肘を曲げるとかなり痛い。大人になると転ぶということがあまりない。まあ新鮮な経験と言ったところ。
WFBだが、だいぶ落ち着いた音調に変化してきたように思う。良い意味で角が丸くなった印象。刺激的な音がしなくなった。エージングはまだまだかかると思うがここまでのところは大満足である。

最近、フィルハーモニアO.と再録音を果たしたマゼール。フィルハーモニアO.といえば古くはクレンペラー、最近のものではシノーポリ盤との比較も面白いかもしれない。
自分は旧盤のウィーンフィルとの全集を長らく聴いている。80年代のマゼールは今振り返ると停滞期、よく言えばスタイルの変化の狭間にあったと言われている。巨匠へのステップを登る途上にあった。そのせいではないだろうがこの全集は比較的ゆったりとしたテンポでじっくりと音楽を進め、ためるところでは歌舞伎の見得を思わせるケレン味溢れる演奏を展開している。しかし相手はVPO。VPOのスタイルとマゼールの個性のぶつかり合いがまた面白い。とくに録音(ちなみに録音順は5,6→2→4→9→7,10→3→1→8)を重ねるごとにその傾向は強いように思う。流れるように演奏しようとするVPOと音楽の流れよりは音楽の構築性とその肥大性に重きを置いたマゼール。
60年代のチャイコフスキー、シベリウスの全集録音を彷彿とさせるが80年代のマゼールは一段とオーケストラとのコミュニケーションがよくなっている。マゼールの意図がオケにしっかり浸透しており、演奏のスリルという点ではやや後退している印象。60年代、80年代、90年代のVPOとの録音は徐々に巨匠として駆け上がっていくマゼールのブレイクスルーだったのではないだろうか。

さて、2番「復活」だが全集中でも初期の録音にあたる。ここでもテンポは遅い。録音のせいだろうか音が硬く、音色も重い。幅、奥行ともに今ひとつ足りないが重心は低い印象を受ける。しかし音楽に没入していくとあまり気にならなくなるから不思議。このあたり好悪の分かれるところか。この音楽の持つ厳しさや宗教性といったものがよく出ているように思う。独唱者の一人、ジェシー・ノーマン(懐かしい!)も余裕の歌唱を聴かせてくれる。だがやっぱりVPOに助けられているな。
この記事を書くにあたり3回ほど通して聴いたが奥の深さに驚いている。やっぱり一筋縄ではいかないマゼールである。

昨日、ダイハード4.0をテレビでやっていた。主演のB.ウィリスが井上道義に見えて仕方が無かった。ただ禿げているだけだけれど。

                                        Comp.symphonies: Maazel / Vpo

2014年1月7日火曜日

WFB のエージング

WFBを設置して3日が経過した。経過は良好。翌日にはタオックを外し、床にじかに置いている。このほうが開放的な音がする。タオックを下に敷くとウーファーユニットがちょうど耳の高さにくることに。これにより低音域が過多となった。それになんだか窮屈な印象。余ったタオックはサブウーファーの下に敷くことにした。これも正解のようだ。もう一台はプリアンプの下に敷いてみたものの音の輪郭が甘くなってしまった。よって元の自作ボードに戻した。このほうがWFB導入以前の音の印象に近い。

しかしWFBはすごい。我が家では音の傾向はそのままに全体の音のキレが向上した。EQによって調整した音がストレス無く出てくる。特にこれといった調整はしないで済んでいる。問題であった床鳴りは全く無い、というわけにはいかないがずいぶんと減った印象。これは座っている椅子の振動が減ったことでもわかる。これによって出てくる音だけでなく、アンプ、CDPといった機器への振動も減ったことでSPに入力する信号もよくなったのだろうと推察される。実はこれが一番の効果かもしれないと思っている。
WFBは日に日に音の様相を変えてきている。初日は低音域が制音されて相対的に高音域が過多となっていたが、翌日には高音域が減弱し、低音域が過多となった。今日の時点ではバランスの取れた音の傾向となっている。だいぶバネ構造も馴染んできたのか。これでもう少し全体がブレンドされた感じになればうれしいのだが。

WFBのエージングにはフレデリック・フェネル/イーストマン・ウィンドアンサンブル(EWE.)の2枚のCDをかけている。マーキュリー録音の吹奏楽曲集。50年代後半の録音ながら好録音。古さを感じさせるところもあるが楽器やホールの雰囲気をよく捉えていると思う。オーディオチェックに欠かせないCD。もしかしたら一番聴いているCDかもしれない。ホルストのハマースミスやグレンジャーのリンカンシャーの花束などあまり知られていないが良い曲と思う。



                               British & American Band Classics: Fennell / Eastman Wind Ensemble



 Fennell / Eastman Wind Ensemble



2014年1月5日日曜日

WFB と NFL

昨年よりの懸案であったWFB(ウェルフロートボード)を購入。本日届いた。早速設置し音出しする。
低音域が心持ちスッキリとした印象。中音~高音域はややうるさい感じ。それぞれの帯域がうまく溶け合っていないように感じる。今日はとにかく音を出しておこうと思う。

このWFB、kazuさん宅で初めて見たのだった。グラグラ。衝撃的だったが、効果は一聴明らかだった。床の振動は皆無で、音が空間を漂う。気品のある音だった。これはイケるっ!我が家のリスニングルームは2階にある昔の応接間で床と壁はヘニャヘニャ。低音のコントロールが課題だった。
EQの導入もそのひとつ。ある程度コントロールはできるが、音の質までは難しいと思っていた。
その日のうちに購入を決意したものの、なかなかのお値段。あれから5か月。晴れて妻のお許しをいただき購入に至った次第。妻よありがとう!。

さてWFBだが、現在はタオックボードの上に置いている。WFB自体が6㎝ほどの高さがあるため、SPの位置がやや高くなった。ウーファーが丁度耳の高さにくる形だ。この辺りは少し時間をおいて調整したいと思う。導入された方のブログなどの音が痩たようになったとか潤いのない音になったというような感想が気になっていたが、我が家では今のところそのようなことはない。ただエージングは必要とのことで、時間が経つとバネがなじむのだろうと思う。設置についてもバネ構造を痛める可能性があるとのことだったが問題ないようだ。今日のところはひとまず安心といったところか。

さて、この時期外せないのがNFL。いよいよプレーオフが始まった。日本のプロ野球でいうところのクライマックスシリーズか。NHKBS1で全試合放映される。深夜なので録画するが一試合2時間50分もあり、見るのも一苦労である。結局見るのは翌日の寝る前ということになり録画しながら前日の試合を見る自転車操業、マッチポンプ式ということになる。2月3日のスーパーボウルまで寝不足は必至である。予想は期待も込めてデンバーvs.シアトルでシアトルのSB制覇だがどうだろう?

そういえば昔こんなCDが出ていた。86年、シカゴベアーズのスーパーボウル制覇を記念したCD。「1812年」「ロメジュリ」「くるみ割り」にアメリカ国歌と星条旗よ永遠なれ、ベアーズの応援歌である「がんばれシカゴベアース」をカップリングした記念アルバム。その後、07年SB進出を果たすも制覇はならず、86年以来ベアーズのSB制覇はない。今年もベアーズはプレーオフ進出はならなかった。


                                          【希少盤】ショルティ 「がんばれ、シカゴ・ベアーズ」&米国歌



 





2014年1月1日水曜日

あけましておめでとうございます Respighi Church Windows

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

この年末年始、あまり面白そうなテレビはなさそうである。よって撮り溜めてあるNFLの中継録画を一生懸命に見ている。NFLもいよいよ佳境、プレーオフに突入だ。スーパーボウルまであとわずか。目が離せない。個人的にはシアトルが本命かと思っている。

さて新年最初はレスピーギの゛教会のステンドグラス″である。お正月なので目出度そうな曲を。
ローマ3部作がメジャーなレスピーギであるが、この曲のオーケストレーションも負けていない。レスピーギは曲に深みが乏しいせいか、正当に評価されていないうらみがある。この曲もオーケストラにオルガンとバンダが加わる。ド派手さでは祭りや松の上を行くのではないか。とくに第4曲、偉大なる聖グレゴリウスにおけるオルガンにグランカッサのトレモロが重なる部分は圧巻。

しかしレスピーギは旋律が美しい。フリギア旋法やグレゴリオ聖歌の旋律が新鮮に聞こえる。
以前、実演に接した際、とても凝った曲ながら非常にシンプルな印象を受けた。

上からロペス=コボス盤(Telarc)、キース・クラーク盤(RR)、オーマンディ盤(CBS)。もう一枚、アシュケナージ盤(Exton)の4種を持っているが、録音と演奏のバランスが取れているのはロペス=コボス盤であろうか。クラーク盤は録音はとても良いがオケがやや非力。オーマンディはさすがと思わせるものの録音が古く物足りなさがある。アシュケナージは録音は良いがアシュケナージの指揮がレスピーギに合っていないように思う。




                   『教会のステンドグラス』、『ローマの祭』、他 ロペス=コボス&シンシナティ交響楽団

                   Vertate Di Chiesa, Violin Concerto: Ricci(Vn)K.clark / Pacific So

                   Vetrate Di Chiesa, Gli Uccelli: Ormandy / Philadelphia.o