さて、一時のマーラーフィーバーも去って、最近はブルックナーばかり聴いている。というのもEQを少しいじって各帯域のバランスを見直してみたところ、ずいぶんと繋がりが良くなった。それに気を良くして、これまであまり良い音で鳴ってくれなかったヨッフム/ドレスデンやマタチッチのCDをかけてみると、中々に上手く鳴るようになった。特にマタチッチは好感触。DENONマタチッチ・レガシーの中のN響ライブの1枚、ブルックナーの8番は好きなCDで、これを上手く鳴らしてみたいというのが我がオーディオのテーマの一つ。リアルライブの放送音源ということもあって録音は冴えない。ちょっと前にXRCDでも出て、こちらはビックリするほどバランスをいじってあって、おかげでかなり聴きやすくなったけれどもすっかり角が取れたと言おうか、お化粧の効いたものになってちょっと見、別人のようでもあった。DENON盤は聴きなれたNHKFMのN響演奏会の生中継をそのままCDにしたような音でオンマイク気味。XRCD盤は録音されているホールエコーをもう少し生かした音作りになっている。本来、XRCDはオリジナルのマスターテープの音をCD規格の範疇で忠実に再現しようというものだと理解しているが、このマタチッチの8番を初めて聴いた時は、確かに音質は向上したけれども違和感を感じたものだ。それにXRCD盤はDENON盤にはない電気的なノイズが3楽章にあったりして、今でも手元に残したDENON盤を愛聴している。
この8番はマタチッチ唯一の録音かと思う。84年当時、マタチッチはすでに身体が不自由であった。立って指揮していた(?)が、バトンも持たず、ほとんど右手を手刀のように動かすだけの指揮だった。見ていてもよくオケがついて行くものだと不思議だった。N響の演奏は正直、残念なレベルだがリアルライブということを考えればこんなものかとも思う。何がスゴイって、マタチッチに食らいつくN響がスゴイ。最終的にはマタチッチがオケも客席もすべてを包み込み、呑み込んで、「マタチッチのブルックナー」を打ち立てて果てる。
第1楽章は両者ぎこちなく硬さがあるが、2楽章あたりから段々と熱を帯びはじめてきて3楽章でオケはもうすっかりマタチッチに呑み込まれてしまっている。4楽章の推進力と圧力は凄まじく全てを呑み込む。オケも余力なく必死の演奏で、会場全体もこの出来事にすっかり痺れてしまっているようだ。そう、なんというか圧力がスゴイんだ、この演奏。なんだかGがスゴイ、この身体が押される感じは飛行機の離陸かジェットコースターのようだ。
ヴァントやチェリ、朝比奈などもっと良い演奏はあるんだが、ここまで気持ちが揺さぶられ興奮する演奏となると自分はマタチッチのコレなんだなあ。これがブルックナーの初体験かもしれない、今気づいたけど。
ごめんください。
返信削除娘さんかわいらしいですね。自分が子育てしていたことを思い出しました。
名前のかわいいマタチッチですが、風貌は岩石のようなイメージがあります。DENONブルックナーは何番だったか忘れましたが、緑色のジャケットでヒッチコックのような影絵のデザインのLPを持っていました。チェコフィルかN響か… 忘れてしまいました。7番か・・・
風貌のとおり岩石のような塊の音楽だったように思います。
今では聴かない指揮者になっています。
kazuさん
返信削除こんばんは
良く鳴ってくれないCDがほかにもあって、ヨッフム/SKDのAB8とかセル/クリーヴランドoのJB1だとか。
これがずいぶんと聴きやすくなりました。マタチッチ/チェコpoのAB7番は自分にとってベスト1かもしれません。
こんばんは
返信削除ヨッフム/ドレスデンのAB8をLPで良く聴いていました。CDを買って録音の悪さに愕然・・・
この指揮者とドレスデンでAB8なのに、EMIには悲しくなりました。多分、今の自分のシステムでもふくらまない乾いた硬い感じで鳴ると思いまして、再取得していません。
kazuさん
返信削除自分の持っている全集CDもなんでこんな音なの?って感じでしたが、最近まあ何とか、これくらいなら、と思える音になりました。LPはCDよりよりはマシでした。