2015年7月4日土曜日

ハイムさん Klaus Pringsheim

阿部ちゃんの方ではなくて・・・。
マーラーの弟子の筆頭はワルターやクレンペラーだろう。クラウス・プリングスハイムもまたマーラーに私淑した弟子のひとり。1931年(昭和6年)東京音楽学校(現在の東京芸術大学音楽学部)に着任したプリングスハイムは、当時日本在住ドイツ人の多くが避暑地としていた軽井沢を避けて新潟県柏崎市の鯨波の地へ避暑に訪れていた。
その事実を知ったのは早崎えりな著「ベルリン・東京物語 音楽家クラウス・プリングスハイム」(音楽之友社,1994)によってであった。この本が出版された94年はアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハと高瀬アキ率いるベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ(BCJO)こちらの来日ツアーの一環としてプリングスハイムに縁のある柏崎でも公演が行われた。それに併せての出版だったように思うが記憶が定かではない。当時、自分は柏崎市に住んでいたこともあってプリングスハイムと柏崎の不思議な縁に驚きとともになんだかとても嬉しくなったことを覚えている。BCJOの公演ではプリングスハイムの曲も演奏されたんじゃないかと思う。聴いたように思うがすっかり忘れてしまった。
柏崎を避暑地としたのには東京音楽学校で彼の生徒であった新潟県出身の宝井真一氏の紹介であったらしい。定宿にしていた鯨波の蒼海ホテルの人にはハイムさんと呼ばれていたらしい。

話は前後するがプリングスハイムの名前を知ったのは音楽を聴き始めた中学生の頃のこと。それこそむさぼるように読んだ、柴田南雄著「グスタフ・マーラー」(岩波新書,1984)で目にしたのが最初だと思う。この本によると昭和7年から12年(11年は除く)までの6年間でマーラーの交響曲を5番、2番、6番、3番、7番の順で日本初演している。柴田によるとロマンティックな演奏であったようだ。

一連の演奏会について柴田は
(中略)プリングスハイムが手掛けた上記の5曲は、当時の日本の水準としてはまったく背伸びぎりぎりの感じであって、彼があらゆる困難を物ともせずこれに挑んだのは一種の壮観だった。
またローゼンシュトックと対比する中で
プリングスハイムの指揮は十九世紀のロマン主義時代からひとつながりの古き良き時代のもの・・・(中略)
ロマン主義的な茫洋たる演奏様式
と述べている。聴いてみたかった~。

この演奏会は快挙であったが在野の音楽関係者からは不評であったようである。 「ベルリン・東京物語 音楽家クラウス・プリングスハイム」から当時の諸井三郎の批評を引用すると
指揮者プリングスハイム氏は理論的指揮者であつて、音楽指揮者ではない、(中略)全体としてこの交響楽を演奏する事は、音楽的にも体力的にも無理である、かくの如き曲の初演を兎も角も為し遂げた努力には敬意を払ひ意義を認めるけれども音楽教育の中心的存在としての東京音楽学校の管弦楽団には、恵まれたあらゆる余裕を活用して、研究を重ねたる古典曲の模範的演奏を発表されん事を望む。 
                                   「月刊楽譜」1935年4月 p126
と冷ややかであったようだ。

プリングスハイムが無し得なかった8番の日本初演は彼の生徒であった山田一雄によって戦後間もない1949年に行われることになる。

鯨波の地を散策していたであろうプリングスハイムに思いを馳せながらマーラーの8番を聴いた。マゼール指揮ウィーンPO.の演奏。マゼールの新全集第3弾となる7,8,9は3度の発売延期を繰り返し、最新のインフォメーションでは7月10日発売とのこと。待ち遠しいことこの上なし。8番は評判のよろしくないこのコンビの全集のなかでも比較的評判の良いもの。全集中では録音も良く。特に独唱者、合唱が上手く捉えられているように思う。演奏は落ち着いたテンポでデフォルメも少ない。全集中では最後の録音となった。8番を除く1~9番は80年代前半に集中的に録音され、84年10月の7番が最後。約5年のブランクを経て89年に録音された8番は他の録音・演奏に比べてすっきりとしたものだが、それが良かったのか悪かったのか。ゆったりとしたテンポでデフォルメするにしてもテンポを落とすという1~7番、9番の手法から繰り出される濃い感じが薄まってしまったのは個人的には残念に感じている。新全集は集中的に録音されたものであろうから各曲間の統一性が取れているのではないかと期待している。
早く来~い!





SONY CLASSICAL CSCR 8123~34


2015年6月27日土曜日

姉さん、事件です。Heifetz Concertos sibelius, Prokofiev, Glaznov

ようやくの梅雨らしい天気と思ったら、今日は午後から強風。意外と梅雨は好きな季節、というか時期なのだ。もちろん雨は嫌いだよ。でも、何というか夏への渇望感というか、早く夏が来ないかな~という期待感がいいのだ。似た感じで冬も嫌いじゃないのだ。しっかしこの風、どうにかならないものか。家が揺れて揺れてしょうがない。

今日はハイフェッツのVn.協奏曲集の紹介。タイトルにもあるようにシベリウスとプロコフィエフの2番、それにグラズノフのヴァイオリン協奏曲が納められたSACDです。鑑賞はもちろん、音質チェックでも活躍中のディスク。特にシベリウスははじめから終わりまで完璧、と思わせる演奏。何度聴いても飽きないし、聴き終わって必ず幸せな気持ちになるから不思議。シベリウスはシカゴSO、プロコフィエフはボストンSO、グラズノフはRCAビクターSOとなっていて、指揮はシベリウスとグラズノフがワルター・ヘンドル、プロコフィエフはミュンシュである。シベリウスとプロコフィエフはそれぞれのオケのフランチャイズでの録音だがRCAビクター響とのグラズノフはカリフォルニア州サンタモニカのシビックオーディトリウムでの録音なのでこの覆面オケの正体はロス・フィルなのだろう。

それにしても艶やかなヴァイオリンの音色である。ハイフェッツのヴァイオリンは技術偏重で表面的で思索性に乏しいと言われることがあるが、そんなことはどうでもいいと思わせるだけの説得力に溢れている。わけてもシベリウスは自分の中でベストの演奏・録音であって、これを超えるもの未だにない。今後も多分出てこないんじゃないかと思う。
録音も1959年、1963年というステレオ初期ながら驚異的に良い。ハイフェッツの技術もあるのだろうが胴鳴りというのだろうか音の下支え感がよく捉えられていてヴァイオリンに存在感がある。
オリジナルのLPはウン万円もするので正直買えないけれど、このSACDで十分満足感は得られる。LIVINGSTEREOのSACD化は2005年に始まったが50タイトルほどがリリースされて結局続かなかった。RCAとSONYが合併したことで進展を期待したものの今のところ目立った動きはないのが残念なところである。このディスクはリリース後しばらくしてタワーレコードで投げ売られていたものを買った。その時は850円くらいだったと思う。良い買い物だったなあ。

先週の日曜日のお昼頃、家から200mほどのところで拳銃の発砲事案が発生した。その日はずっと家にいて音楽を聴いていた。お恥ずかしい話だが全く気が付かなかった。夕方のローカルニュースで知って驚いた次第。ニュースの空撮画像には近所の中華料理店と道路脇の駐車場が映っていた。そうとは知らず音楽を聴いていたって訳。全く呑気な話。なんでもパトカーが盗難車を追跡し、停車させたところ乗っていた男が斧を振り回し暴れたため空に向けて一発、威嚇発砲したものらしい。パトカー14台が出動する大捕り物だったとのこと。幸い、ケガ人などは出なかった。
捕まった男は自称アメリカ国籍で何でか知らないがオーストラリアのパスポートを所持していて「このパスポートは自分のではない」と供述しているそう。何だか訳がわからない話だけれど物騒だね。

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2015年6月20日土曜日

N.Järvi / Gothenburg SO. JS Sym.5 (BIS)

新潟は昨日、ようやくの梅雨入り。なれどうす曇りで雨の気配はナシ。ホントに入ったの?ジメジメ・蒸し蒸しは嫌だけれど、こうも雨が少ないと農作物にも影響がありそう。

さて、昨日は職場の親睦団体の新入会員の歓迎会。雨模様の天気に加えクーラーがガンガンに効いた中ではあったがキンキンに冷えた生ビールは美味しかった~。で、今日は娘が受験予定?の学校の説明会。これまで行くのか行かないのかどっちつかずだった娘。最終的にそこに進学するのかは娘に決めさせようと妻と話していた。今日の説明会では体験学習もあって、非常に楽しかったようで、終わって合流するなり「決めた!行く!」とのこと。親としては、それなりに勉強ができて、受験できるチャンスがあるのなら是非トライしてほしいと思っていただけに嬉しい反応。軽い二日酔いの中行っただけのことはあった。よかった。
娘が頑張るなら、父も頑張って働くよ。オーディオやCDも控えよう。父=パパということで、パパの話。

ヤルヴィ(パパの方)とエーテボリSO.のシベリウスの5番。BISによる旧録音盤。ヤルヴィによるシベリウスは実は初めて。そもそもヤルヴィのBIS録音は2枚ほど(マラ8とあとは何だっけ?)しか持っていないし、DG録音もショスタコの11-12番と15番だけ。まあ、ほとんど聴いていない。BISはレギュラープライスで割高感があったし、そこまで手が回らなかったというのが正直なところ。春頃だろうか、HOに番号は忘れたけれど数タイトル入荷したが、その時は食指が動かずスルーした。直後、うな君がHOに行くというので、あったよ~、と話したが売れてしまっていたと言っていた。
で、バーンスタインの全集を聴いていてヤルヴィも聴かねばならんなぁと思い、中古LPを探していたが、これが中々に見つからず・・・。

今回、HMVの中古CDで2,4,5,7番が出ていたのを注文したら首尾よく在庫があって購入できた。新品でも全集で買えばもう少し安いのだろうが、なんだかジャケットの写真が気になってバラで買ってみた。黒地に白い文字はBISのトレードマーク。
ヤルヴィというとBISとシャンドスに大量の録音がある。CD期になってレパートリー需要の増加もあっての事だろうと思うし、製作コスト・ギャランティと演奏家の力量のバランスがうまく噛み合ってのことだと思うが、なにしろ膨大な録音量だ。そのなかでも80年代BISを代表するのがヤルヴィのシベリウスだった。いわゆる‟本場もの”という括りでベリルンドのEMI盤と並んで一世を風靡した。それについてはこちらに少し書いた。しかし、こうして聴いてみると‟本場もの”とはすこし違うように感じられる。優秀な録音と相まって、やや強面な演奏。確かに本場ものではあるがロシア系の本場ものなのだね。割と金管楽器が目立つし、速めのテンポで推進力がある。ロシア系はグッと音楽を引き締めた厳しめの演奏で結構力尽くなのが特徴。ヤルヴィの演奏にもその特徴が表われている。やはりムラヴィンスキーに師事したことが大きいのだろう。とはいうものの、ロシアっぽさはかなり薄め。本場とロシア風の混ざり具合の絶妙なバランスがよいのだと思う。聴いて良かったと思う。
そもそもエーテボリSOもスウェーデンのオケだし、指揮者のヤルヴィもエストニア出身で厳密には本場フィンランドなのはレーベルのBISだけなんだけども。



BIS CD-222




2015年6月13日土曜日

緯度が低め D.Milhaud Comp. String Quartet

かっぱ祭りも終わって、いよいよ梅雨入りが間近い。ちょうどかっぱが雨を呼ぶ形か。しかし祭りのあとの喪失感は結構キツイ。

さて、注文しておいたマゼール/PO.のマーラー7.8.9のセット。当初、5月中の発売とのことだったが、6/10に延期となった。これ以上の延期は勘弁願いたいと思っていたところ、再度の延期で6/30の出荷との連絡があった。引っ張るなぁ~。期待を煽るな~。ひょっとして発売中止もアリ?

先日、ハイファイ堂のHPを覗いていたらミヨーの弦楽四重奏全曲のCDボックスが中古で出ていた。そのちょっと前にアキテーヌ室内楽協会SQ、アルカナSQの全集が出ていたがこっちのほうは15000円もする。元々の売値が高いのかプレミアがついているのか知らないが高杉晋作。手が出ない。で、躊躇っているうちにいつの間にか売れてしまった。ところが最近になってもう1セット、ParisiiSQのNaïve盤が出ていた。このNaïve盤、10年ほど前に発売された時どうしようかかなり迷って結局買わずじまいでこちらもいつの間にか廃盤となってしまい、入手は難しいかと諦めていたところの掘り出し物。今回、価格も5枚組で5000円とお手頃。なので迷わず購入した。
ミヨー好きの自分にしても弦楽四重奏は未知の世界。聴いて見事に期待は裏切られた格好。変化球のように意表を突かれた形。そう来るか~。これはこれでちょっと嬉しい。
第1番は1912年の作で作品番号は5。最後の18番は1950-51年の作で作品番号は308となっている。この他に作品番号435のストラヴィンスキーへのオマージュ(1971)とエチュード(1973)作品番号442が含まれていて、弦楽四重奏曲の作曲が活動期間の全般にわたって行われていたことがわかる。
ミヨーといえば多調、ジャズを取り入れた音楽だけれど、ジャズの要素は目立たない。明朗で楽しい印象のミヨーの音楽からすると弦楽四重奏曲は割と地味というか深刻で難解な部類に入るだろうか。けれどやっぱりミヨーらしくネットリとうねり、流れていく、緯度が低めの音楽はちょっとエロチック。蒸し暑い今の時期にぴったりくる。このセット、5枚のCDをまとめた形でそれぞれがプラケースに入っている。紙ケースも場所を取らずいいのだけれど枚数が少ない場合はこの方が扱いやすい。キズも付きにくいしね。ジャケットもミヨーのポートレイトとなっていて楽しめる。

BOX外箱

naïve v4930

naïve v4931

naïve v4783

naïve v4784

naïve v4891



2015年6月5日金曜日

小音量で良い音を

明日は大潟かっぱ祭り。今年で29回を迎える。上越市大潟区にはかっぱ伝説がある?らしい。生まれて此の方聞いたこともないが、あるらしい。大潟区には人魚伝説もある。小川未明(びめい・みめい)作、童話「赤いろうそくと人魚」のモデルとなっている。余談だが唱歌「夏は来ぬ」の作曲者、小山作之助は大潟区(旧大潟町潟町)の出身で、それを記念して地元の市立大潟町中学校(自分の母校でもある)には作之助の胸像と「夏は来ぬ」の歌碑が建っているし、北陸新幹線の上越妙高駅の発車メロディにもなっている。

さて、これまで結構な怨霊、いや音量で音楽を聴いてきたが、最近小音量で音楽を聴くことが多い。部屋が隣家に接しているため、夜9時以降、音楽は聴いていなかったのだがボリュームを絞って10時過ぎくらいまで聴くようになった。というのもこれまでは音量を落とすと、なんだかツマラナイ音になってしまっていた。最近のEQ調整でボリュームを絞っても以前のように音の艶、というか音が痩せなくなった。きっと低音が出てくるようになって、音の支えがしっかりしてきたのだろうと思っている。大音量の時と違って音像がふわりと眼前に広がり、力の抜けた少し余裕がある鳴り方、という感じがする。
ジャンルは歌曲や器楽曲が多いが古いジャズのCDなんかも良い。灯りを落として聴くととっても良い雰囲気だ。
今日はこちら。以前にも紹介したブラームスのドイツ・レクイエム四手連弾版。