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2013年11月3日日曜日

O.Klemperer/VPO AB5

ショルティのブルックナーの9番を聴いていて、ショルティがブルックナーをどのように考えていたかを調べようと自伝を読み返してみた。買ってずいぶん経つ。何度か繰り返し読んでいる。

ブルックナーについて50年代にテオドール・アドルノに演奏するように勧められたようだ。それまでは退屈な音楽と思っていたようだ。ショルティはブルックナーを演奏について以下のように書いている。

指揮者は金管が目立ちすぎないように気をつけねばならない。要所要所でためらうことなく、ダイナミックス大きく変える必要がある。金管は独奏部その他の重要な旋律部分では、前面に出る必要があるが、伴奏に回るときは弦や木管の音を圧倒してはならない。(中略)オーケストラが金管アンサンブルのようになってはいけないのだ。

                             (木村博江 訳 ショルティ自伝 pp.250)


とは書いているが、実際の演奏は自分の耳には金管が突出しているように思う。ショルティ自身はあのバランスが最適だったのだろうと思う。
この本、まだまだ面白いエピソードがある。小出しにしていこう。


さて、この2週間ほどは多忙でゆっくりと音楽に浸ることができなかったが引き続きブルックナーを中心に聴いていた。なかでも良かったのがナクソスのティントナーの演奏。残念なことに全集の完成直後、病気を苦に自殺してしまった。このブルックナー全集が遺言になってしまった。のちにメモリアルエディションとして他の作曲家の演奏も発売されたがもうほとんど顧みられることはないようだ。オケはスコティッシュナショナルo.が中心。演奏は自然体で力みは一切ない、と書くとすっきりしすぎていて物足りないように思うがそんなことはなく、非常に充実した(演奏もだが、特に)音楽となっている。いい意味で指揮者が見えない演奏。なかでも初稿版による3番が良い。全集のチョイスとしては外してはいけないと思う。

もう一つはクレンペラー/VPOの5番。68年ウィーン芸術週間のライブ録音BOXセット。テスタメント。クレンペラーのブルックナーというとテンポが遅いとか、無理やりなカット(8番)が響いて悪い印象が先行しているようで甚だ評判が悪いようだが自分はなかなか良い演奏だと思う。クレンペラーについての全般的な印象を一言でいうならば「クレンペラーさん、良くわかってらっしゃる」といったところか。
晩年のフィルハーモニアO.ニューフィルハーモニアO.との演奏記録が残っているだけでも自分にとっては僥倖(残されていなかったらこの指揮者を知ることもなかったハズ)だが、VPOとの演奏記録である。晩年の体調などを考えると奇跡に思える。
この演奏、大変な充実ぶり。クレンペラーはギャラの安さを理由にウィーンには行きたがらなかったようだが、いざ振るとなるとかなりの本気モード。VPOも巨匠の指揮にビッタリとつけている。放送録音だが音は良い。会場の雰囲気がよく捉えられている。テンポは言われているほどには遅くはない。緩徐楽章である第2楽章がかなりの快速テンポ(14分53秒)なのでその他の楽章が相対的に遅く(というかゆっくりに)感じられる。
全体の演奏時間は74分32秒。以外なことに主な手持ちの盤のなかで最速だ。ちなみに早い印象のあるヨッフム/バイエルン盤でさえ76分52秒(第2楽章は19分32秒)。最も遅いチェリは87分39秒(第2楽章は24分12秒)。チェリ盤と比較すると全体では13分ほどの差になるが第2楽章だけでは約9分40秒違うが残りの1,3,4楽章では4分ほどしか違わない。いかにクレンペラーの第2楽章が速いかがわかる。

クレンペラーは決してテンポが遅いわけではなく楽章間での時間配分を変えているといった方が良いのかもしれない。この操作によって弛緩することなく堂々とした音楽が構築できるのだろう。聴いている方は訳がわからないうちに凄い、という風になってしまうのだ。クレンペラー・マジックといったところか。参考までに同じような手法をベートーヴェンの9番でもとっている。
            
                   
 

                         クレンペラー&ウィーン・フィルBOX(8CD) 





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