2016年5月28日土曜日

O.Klemperer Haydy Symphonise

カルミニョーラのハイドンと一緒に注文したクレンペラーのハイドンの交響曲集の中古。
前から聴いてみたいとは思っていたものの買いそびれていた。「軍隊」についてはmoleさんからクレンペラーの録音の中ではちょっと毛色の変わったものとご紹介いただいたので、これを機に購入に踏み切らせていただいた。EMIの3枚組。88・92・95・98・100・101・102・104番の8曲。
データを見ると、98・101番が60年、88・104番が64年、100・102番が65年、95番が70年、92番が71年となっている。すべてアビィロード・スタジオでの録音。
クレンペラーのハイドンはいつもながらの堂々たるドライヴをみせる。テンポが遅いといわれるクレンペラー。でも自分はそんなに遅いとは思っていない。以前ブログにも書いた(コチラ)が、すべてが遅い晩年のチェリビダッケとは違って、楽章ごとの時間配分を変えているフシが無きにしもあらず、と考えている。それに加えて精神的にも身体的にも好不調の波のあったことも関係しているかも、だ。もちろん例外もわずかにあって、マーラーの7番とブルックナーの9番は異様な遅さだ。マーラーの7番は確かに凄い演奏だしクレンペラーの代表作的位置づけになってしまっているが、自分はアレはやっぱり例外、と捉えている。70年録音のブルックナーの9番はほとんど演奏が崩壊気味でどんなに好意的にみてもかなり苦い演奏。70年・71年録音のハイドンの95番・92番は演奏が崩壊してはいないので、いわゆる耄碌が原因ではなかろう。可能性としては双極性障害が高いのではないかと推測する。
双極性障害(いわゆる躁鬱病)であったクレンペラー。躁状態であった時期、鬱状態であった時期と録音スケジュールの関係は興味深いところであるが、今のところこの2つを関連付けた具体的なデータにはお目に掛かかれていない。ただ、ひどい鬱状態のときは指揮できなかったようである。

このハイドン、録音が60年代~70年代の録音ということもあり、50年代後半のベートーヴェン全集に比べるとEMIにしては各楽器が割と分離よく明晰に録られているようだ。キングズウェイホールではなくアビィロードスタジオというのもあるかもしれない。音調はEMIらしい寒色系の音色はやや後退してウォームに傾いているがその分、直接音と間接音のバランスも良く音楽の細かなニュアンスもうまく拾っているしマスの響きも損なわれてはいないように感じる。

ちなみに画像のジャケット写真は最初にCD化されたシリーズのもの。何度となくリマスタリングされ、再発されているクレンペラーではあるが、最初のものが音質が良いように感じている。ARTリマスタリングはこれに次いで良いと思うが、少し縁取りクッキリ、音薄めで聴きやすくした感じだろうか?でも自分には違いがほとんどわからない。よってこれで十分と思っている。

EMI CMS 7 63667

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