2017年9月2日土曜日

W.Furtwängler WPh. "Unfinished" (Rec.1950)

何気に、ベートーヴェンの交響曲を聴こうと思って、箱を漁っていると、フルトヴェングラーの”運命”54年盤が出てきた。カップリングは”未完成”。すっかり忘れてた。フルトヴェングラーの”未完成”は持っていないとばかり思ってたもんで、めっけもん。アレ、こんなのがあったんだ~、と思いながらCDPのトレイに載せた。
出てきた音はもちろんモノラルで、ノイズも多め。ゴーストも聴かれる。テープの保存状態はあまりよくない様子。でもとっても良い。
”未完成”という曲に形があるなら、正にピッタリと一分の隙もなく嵌っている、そんな感じ。ここぞというところでのタメが効果絶大なれど全体には抑制の効いた演奏で結構おとなしい。それでもクールというわけではなく、熱を持ちながらもそれをグッと抑えている。
幾つか残されているフルトヴェングラーの”未完成”の中で、唯一のスタジオ録音らしい。
そんなこともあって、あんまり評判は宜しくないようだ。七味はコレしか持ってないのでコメントのしようもないが、これはコレで良いように感じる。
ライブでは燃えて、スタジオでは燃えなかったとよく言われるが、燃える燃えないというハナシではなくて歴史に残す(残る)ように、演奏したかどうか?ではないかとチョット思った。
そんなわけで、フルトヴェングラーの個性よりは”未完成”の曲の美しさが勝った演奏、と思う。

普段、フルトヴェングラーの演奏を聴くことはほとんどない七味。
多分、このブログでフルトヴェングラーのディスクを取り上げるのは初だと思う。
この54年の”運命”と50年の”未完成”のCDも買ったとき聴いたっきりですっかり忘れている始末。
同曲異演が多く残されているのは構わないのだが、さらにその上の異演のリマスタリング違いなぞは、すべてをコンプリートするほどの経済的余裕も興味もない。
何年の何処何処のリマスタリングが至高、なんて文言をネットの掲示板などで見かけるが、いくつもの同曲異演盤のマスタリング違いを聴いてその違いが判って、さらに優劣をつけられることに素直に感心してしまう。
七味なんぞはそこまで違いが判らないから、ただただ音源が残っていることに感謝して聴くばかりである。

さて、ここまで紹介していないものも含めて10数種類の”未完成”を聴いてきた。コレがベスト!と言えるほどには今だこの曲がわからないけれど、曲のスタイル、音の数が少ないこともあって、古い録音の方が七味にはしっくりくることが多かった。細部まで露わにするような最近の録音では響きが生々し過ぎるように感じた。響きをマスで捉える傾向の録音の方がこの曲には合っているように思った次第。

EMI TOCE14034

2 件のコメント:

  1. ライムンド2017年9月5日 23:53

    こんばんは、フルトヴェングラーの演奏は私もあまりあれではなくて(以下略。
    それでもベートーヴェンの第5番、シューマンの第4番、ブラームスの第1番あたり
    は感心がありました。未完成はリハーサル映像の断片を見たくらいで、全曲も聴い
    たことがありましたがよく覚えていません。

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  2. ライムンドさん
    コメントありがとうございます。
    七味もフルトヴェングラーはそれほど熱心に聴く機会はないです。クラシック音楽の入り口がワルターだったことも影響してるかも、です。
    モノラル録音といっても戦後のものは比較的聴きやすいです。
    シューベルトはDGのグレイトとEMIのこの盤くらい。あとは運命、バイロイトの合唱にシューマン、ブルックナーがボチボチといったところです。

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