2019年5月5日日曜日

N響ゆかりの2人の指揮者によるベートーヴェン全集(2)

さて、今日はスイトナー/SKBによるベートーヴェン交響曲全集の話。
この全集BOXは先のブログにも書いた通りうな君からお借りしたもの。あんまりスイトナーのディスクは持っていなくて、LPでモツの交響曲を少しと、CDでブルックナー選集とシューマン、ドヴォルザーク、ブラームスの全集、それに春の祭典、チャイコの弦セレとグリーグくらい。あと、ヒンデミットの交響曲変ホ調くらい。十分か?
スイトナーはオーストリアに生まれて主に旧東独で活躍。N響の名誉指揮者でもある。七味もN響とのモーツァルトなどをN響アワーで良く観たものだ。ドイツ統一後はほとんど表舞台に立つことなく、ほぼ引退状態で、N響にも客演しなくなってしまった。Wikiによると晩年はパーキンソン病だったらしい。
七味がスイトナーのCDを聴くようになったのは引退状態になって以降のこと。徳間が1000円でシャルプラッテン・レーベルの音源を大量に発売してくれたことが大きい。
なかでもブルックナーはテンポを大きく動かし、振幅の大きい演奏。ヨッフムに似たタイプの演奏でかなりエモいもの。N響との演奏は微穏当な印象しかなかったが、当方の未熟さからくる理解不足だったのかも。
そのほかも結構エモい演奏が多い。この辺り、ドレスデン、ベルリン両歌劇場の音楽監督として鳴らしただけあって、音楽の構成感もさることながら、音楽の感興を盛り上げ、聴衆の感情を一瞬で引き付ける術を熟知しているようだ。

Kazuさんが言うには英雄と田園の再生が難しい、らしい。
以前、メールでも同じ趣旨のことをいただいていて、良ければ確認してみて、とのこと。それもあって今回うな君から借りてみたわけ。
まだ全曲すべてを聴いたわけではないが、確かに英雄は録音の傾向は同じだが、よく言えばくすんだ、いわゆるいぶし銀の音色がより強く出た音と云えるし、悪く言えば音がややこもるというかベール1枚通して聴いているような感じがする。
録音データをみると両曲が80年の6~7月にかけて。エンジニアはともにマズアの旧全集も手掛けた東独を代表する名エンジニアであるクラウス・シュトリューベン。
約1年後の81年8月に録音が再開されて、エンジニアが変わっている。
この全集、世界初のデジタル録音によるベートーヴェン全集だったはず。デンオンとシャルプラッテンの共同制作でした。デンオンのPCM録音も何だか硬い感じの録音もあるけれど、この録音は全体かなりうまくいっているように感じる。録音場所の東ベルリン、キリスト教会が良いのか?

以前、Kazuさんがご自身のブログ(こちら)で第9の第4楽章を絶賛されていた。
第九から聴き始めているが、もう冒頭からグイグイ引き込まれちゃってます。
7番も何というか、仄かな色気と申せば良いのか項(うなじ)をくすぐられるような感じで、吐息が漏れてしまいそう。力みはない。ないがあえて抑制的。作為ないようでいて結構作為的かもしれない。決して中庸の美、的な演奏ではないように思う。
このベートーヴェン全集、実はかなりエモいヤツなのかも?

デンオン 198C37-7251~56
うな君、もしかしてCD初発BOXなの?






4 件のコメント:

  1. おはようございます。スウィトナーのベートーヴェン、紹介ありがとうございます。みいはあな私の記事、はずかしいですね。
    田園、英雄の再生の課題はコントラバスなどの弦楽器の低音が制御できないところにあります。それ以外は田園はきらきらして、英雄は渋くてずっと聴きとおしたい演奏です。特に田園は第一楽章のほんの一瞬が気になり、そこのところにこだわってきました。多分、機械より私の部屋の特性が原因だと思います。だいぶ良くなってきたと思いますが、もっと自然に抜ければと思いながらパネルの配置などで調整を試みています。
    スウィトナーが東に正妻、西に別女性との暮らしを送りながら指揮をしていたという晩年の生活を描いた、息子さん作成のドキュメンタリーを観たことがあります。二人の女性も干渉し合わなかった特別な生活でした。スウィトナーの印象からは意外でした。
    七味さんのさわやかなスウィトナー観の記述に感心しました。

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  2. Kazuさん
    おはようございます。
    スイトナーのベートーヴェンをまとめて聴くのは初めてでして、好き勝手言っているだけです。我が家では低音の量感量的はそれほどと感じますが100Hz前後の部屋の伝送特性によるのでしょうね。
    ドキュメンタリーの存在、知りませんでした。音楽家は艶福家が多いようですね。一度観てみたいものです。

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  3. 幸せの黒い猫2019年5月6日 16:16

    そう言えばディスクの貸し借りは
    したことが無いです。
    ディスク持参で行き来はしますが
    置いて帰ると言うのはしなくて
    その時聴いてお持ち帰りです。

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  4. イトコのうな君とは結構貸し借りしています。
    ただ、「コレ、良い演奏だから聴いてみ?」という感じで貸すという事は少なくてお互いに借りていくことが多いです。

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