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コレ幸いと、音楽本のハードカバーものを数点買った。
手始めにトスカニーニの評伝がら読み始めた。
サミュエル・チョツィノフ著 石坂嵐訳”身近で見たマエストロ トスカニーニ”(アルファベータブックス,2017)
こちらは1956年出版の”Toscanini:An Intimate Portrait”の全訳で日本語版は1557年に堀内敬三の訳で出ており、新訳版ということだ。
著者のチョツィノフという人はニューヨーク・ワールド紙の音楽批評家で後にNBC交響楽団の創設に関わり、トスカニーニとは家族ぐるみで付き合いがあったようだ。そんな人だからかなり好意的に書かれてもいるのだろうが、ステージ上のことはもちろんオフステージのトスカニーニの様子がよく描かれている。
この本で描かれているのはトスカニーニがニューヨーク・フィルを離れるちょと前あたりからバイロイトへの出演、ムソリーニ、ファシスト党への反対・抵抗、第二次大戦中から戦後、NBC交響楽団の創設を経て、そしてNBC交響楽団とのラストコンサートまで。私たちがRCAによるレコーディングで知るトスカニーニのその時代だ。
ただ残念なのは本文に詳しい日時の記述が少ないこと。せめて本文に記述のある演奏会やレコーディングなどのデータが脚注としてあればもっとわかりやすかったのではないかと思った。
読み応え満点で読みながら笑ってしまったり、思わずホロリとしてしまう場面も少なくない。
とくに、NBC交響楽団創設のあたりの再度の渡米に消極的なトスカニーニを説得する場面は、そんな裏話(たんに七味が寡聞にして知らないだけなのかもしれない)があったのか!とハラハラしながら読み進めた。
トスカニーニについて、七味は以前こちらにトスカニーニの演奏について”エネルギーの放射が凄い”と書いた。
共演者やオケのメンバーを罵倒するのは当たり前で、追っかけまわした末に殴り倒した(!!)というエピソードもあるくらい激情の人だったようだし、オケの奏者は”敵”で”殺してやりたい”とも言っている。
ただ、チョツィノフは面罵された音楽家はそれでトスカニーニのことを恨んだり憎んだりはしていなかったとも書いている(このあたりは好意的に過ぎるように思う)。団員たちが反抗しなかったのはトスカニーニが自身を非難する誠実さを持ち合わせていたからで、時に、オーケストラに自分の意図するところが伝わらないのは無能な指揮者である自分のせいだといって左手で自分の右手を激しく叩いたそうだ。
その晩の演奏が上手くいけばご機嫌であったが上手くいかなければ食事も摂らず寝室で呪詛の言葉をつぶやき続けた。
オフステージでは家族や友人を大切にしミュージカルが好きで、いたずらされるのも好きだったらしい。なんか風貌からするとお堅いイメージがあるけれども。
音楽のために自身の地位や名声などまったくもって気にせず、自らをも犠牲にして音楽に私淑し人生のすべてが音楽のためにあったようなトスカニーニ。周りの人間も振りまわされつつもそんなトスカニーニを敬愛していたようだ。
夫人の死に際して音楽に触れようともしなかったトスカニーニを著者の機転でまた音楽を取り戻していくくだりは泣けて泣けてしょうがなかった。
普段、あまり音楽に物語を持ち込んで答えを出そうとか思わないのだけれども、こうした評伝を読むと、一層その音楽に愛着が湧くのも事実。ただ、トスカニーニの録音を聴いていると単なる短気で癇癪持ちの偏屈な爺さんの音楽ではない身体ごとぶつかってくるような全身全霊を込めたそのエネルギーを感じる。その演奏の理由の一端がわかったことは大収穫であった次第。
ということでトスカニーニのベートーヴェンの7番を。
トスカニーニの演奏のなかでもエネルギーの照射が強烈な一曲。「真・善・美」が見事に調和した演奏と感じる。この演奏をナマで聴いたら悶死するか、あるいはあられもなくブラボーを絶叫しているだろう、と思う。
BMG BVCC-9916 |
1000ポイントで5%引きは
返信削除なかなか太っ腹な還元率ですね。
確かにそれなら高い本をと言う
心理は働きますね。
自分は最近本はめっきり読まなくなりました。
オーディオ雑誌も買わないですし
浦島太郎状態ですね。
幸せの黒い猫さん ありがとうございます。
返信削除若いころは就寝前の読書が習慣でしたが、老眼が進み薄暗い中では読書しづらくなって読書量が減りました。
オーディオ雑誌は七味もトンと買わなくなりました。立ち読みもしません。
最新の機器に買い替えよう、もっと上の機器をとか考えなくなってからですね。現在の機器での音質改善であればネットの情報で充分です。
そう言えばチリチリノイズの件ですが
返信削除スピーカーケーブルがホームセンターの
VVFの単線だった気がしますが
個人の経験上このケーブルを
スピーカーケーブルにすると
チリチリノイズを感じました。
まだ4芯のキャブタイヤケーブルを
対角でより結んだ
スターカッド使用の方がノイズは
格段に少なくなりました。
今はサブはカナレのスターカッドを
使っています。
幸せの黒い猫さん ありがとうございます。
返信削除今はVVFを止めて2芯キャブタイヤケーブルにしています。
おかげ様でヒリヒリ・チリチリノイズはだいぶ減って気にならないくらいになりました。
スターカッド接続は2芯なのでできませんが、今度試してみますね。