2016年6月12日日曜日

K.Tennstedt / LPO GM Sym.9 追悼 宇野功芳

雨は降らないものの、蒸し暑くなって来た。もういつでも梅雨入りしてもよさそうな天気。またあのジメジメ、ムシムシとした季節が来るかと思うと滅入ってしまう。

昼間は心地よい風に吹かれながらヤナーチェクの弦楽四重奏曲を聴いて微睡んだが、夜は何を聴こうかと棚を見て目に留まったのが、テンシュテットのマーラーの9番。
その前に皆さまのブログをチェックと思ってネットを見ていると音楽評論家の宇野功芳が亡くなったという記事が。
そうか・・・。レコ芸の月評から降りたと聞いていたので、そう遠くないうちにこの日が来る予感はあった。あの飾らない、人間臭い評論が読めないのかと思うと泣けてきた。クラシック音楽を聴き始めた頃は本当にお世話になった。いろいろ言われてはいるが初心者のガイド役としては最適の人だったと思う。星新一よろしく一度は通る道であったと今は思う。ご冥福をお祈りする。半年ほど前に宇野功芳について書いた記事はこちら

さて、テンシュテットのマーラーの9番。EMI。79年アビーロードスタジオでの録音。
テンシュテットのマーラーは正直、あまり聴かない。嫌いではないが聴くとぐったり疲れてしまう。テンシュテットの熱にやられてしまう、と云ってもよい。鉛を飲まされたような身体の重さを感じる。飲んだことないけど。聴きとおすのが苦痛なんである。
テンシュテットのマーラーは彼の代名詞。自分にとってテンシュテットといえばマーラー。彼のマーラー以外のディスクといって、持っているのはブラームスの1番に、「ハーリヤーノシュ」「キージェ中尉」「新世界」とチョン・キョンファの伴奏でベートーヴェンの協奏曲くらい。

テンシュテットのマーラー、一言で云えば「歪」だ。録音もイマイチで、それこそ「歪」んでいるが、そうではなく演奏が何だかちぐはぐな印象が拭えない。形振り構わず、それこそ全身全霊、すべてをぶつける体当たり演奏。何に何をぶつけているのか判らんが。71歳で死んでしまうのもわかるような気がする。もし90歳まで生きていたとして、果たしてどんな演奏をしただろうか?こんな演奏はできまい。テンシュテットは逝くべきして逝った。宇野功芳も・・・。そんな気がしてならない。


2 件のコメント:

  1. テンシュテットの特徴について簡潔明瞭な記述に感心しました。マーラー5番など、大阪で実演を聴いたときはすごかったです。それにしても、録音の音質には恵まれない人でした。ベルリン・フィルとの録音など、ざらざらして砂っぽいです。

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  2. kazuさん
    こんばんは。ありがとうございます。
    新潟もいよいよ梅雨入りしましたね。
    今回聴いたマーラーの9番はかなり苦しい録音でしたね。かなり歪っぽい。テンシュテットのマーラーは国内盤ばかりなのですが、輸入盤でもそれほど変わらないような気がして買い求めていません。
    放送音源など、もっと出てきてもよさそうな気がしますがどうなのでしょうね。出尽くした感もあり、です。

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